安里氏の支援団体(「新しい沖縄を創る会」)も「選考委員会の運営が不透明である」として、選考委員会の決定の如何(いかん)にかかわらず安里氏に立候補するよう要請し、安里氏側もこれを受諾、7月2日に立候補を表明した。

 7月9日には、選定委員会が佐喜眞淳宜野湾市長に出馬要請を行い、佐喜眞市長は前向きだという。ところが、佐喜眞氏の後援会は、佐喜眞氏が立候補する場合に行われる宜野湾市長選挙で自民系候補が勝てる保証がないこともあり、知事選への出馬には消極的だと伝えられている。

 「保守乱立選挙になったら翁長陣営に負ける」との懸念もあるが、「最終的には佐喜眞、安里、古謝氏の間で一本化に向けた調整が行われる」という楽観論もある。7月末までには何らかの「決着」が見られる可能性もあるが、決して予断は許さない状況だ。

 筆者がここで問題視したいのは、「翁長知事さえ倒せればOK」といわんばかりの自民党県連の姿勢である。選考委員会において候補者の理念、政策、指導力などをめぐる議論が行われた形跡はない。

 政治的な力関係、組織益、既得権益ばかりが尊重されて、第6次沖縄振興計画や安保政策への姿勢はもとより、「沖縄をどう変えるのか?」というビジョンを欠いたまま候補者が選ばれても、「基地と補助金との間で揺れ動く島」からは決して脱却できない。それどころか、「第二、第三の翁長知事」の出現を許すことになりかねない。
会談を前に安倍晋三首相(右)と握手する沖縄県の翁長雄志知事=2015年4月、首相官邸(酒巻俊介撮影)
会談を前に安倍晋三首相(右)と握手する沖縄県の翁長雄志知事=2015年4月、首相官邸(酒巻俊介撮影)
 確かに自民党にとって翁長知事(またはその後継者)を倒すことは重要だろう。しかしながら、第6次沖縄振興計画を控えた今回の選挙では、「沖縄をどう変えるのか」というビジョンを掲げた候補を選ぶことが勝利への第一歩であり、そうしたビジョンを前提に選挙戦を戦えば、未来は自(おの)ずと開かれるはずだ。「前に進む沖縄」を選ぶのか、「後ろに下がる沖縄」を選ぶのか。今回の知事選の争点はまさにそこにある。