2018年07月11日 16:46 公開

シャムーン・ハフェズ BBCスポーツ

サッカーのフランス代表は10日、ロシアのサンクトペテルブルクで行われたワールドカップ(W杯)ロシア大会準決勝でベルギー代表と対戦し、1-0で勝利した。欧州の隣国ベルギーに辛勝したフランスは、W杯決勝でイングランド対クロアチアの勝者と対戦する。

フランスのDFサミュエル・ウムティティが後半6分、FWアントワーヌ・グリーズマンのコーナーキックを高い位置からのヘディングで決め、チームを決勝に導いた。

ディディエ・デシャン監督率いるフランスは試合の大半で劣勢だったが、なんとか勝利を収めてチーム3度目となる決勝に進出した。フランスはこれまでに、優勝した自国開催の1998年フランス大会と、イタリアにペナルティキック(PK)戦の末敗れた2006年ドイツ大会でW杯決勝を戦っている。

ベルギーは準々決勝でブラジルに見事な勝利を収めて準決勝へ駒を進めたが、同点に追いつくことはできなかった。MFアクセル・ビツェルの強力なロングシュートはフランスGKウーゴ・ロリスにパンチングではじき出され、ベルギーDFトビー・アルデルワイレルトが反転から放ったシュートもロリスが素晴らしいセーブで止めた。

試合終了の笛が鳴ると、フランスの控え選手はピッチに飛び出して選手たちを祝福した。デシャン監督はスタッフにもみくちゃにされた後、選手たちの輪に入り踊ってみせた。

準決勝第2試合では、イングランドがクロアチアと対戦する。この試合は日本時間12日午前3時、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われる。決勝戦は同じくルジニキ・スタジアムで日本時間16日深夜0時から始まる。

ベルギーの才能を抑え込んだ機能的なフランス

20年前、フランスは自国開催のW杯決勝でブラジルを3-0で下し、初の、そしてこれまでのところ唯一となるW杯優勝を勝ち取った。

このチームで主将を務めていたのが現在のフランス代表監督、デシャン氏だ。デシャン監督は今、ブラジルのマリオ・ザガロ氏、ドイツのフランツ・ベッケンバウアー氏と同じように、選手と監督の両方でW杯を勝利した人物になることを狙っている。

デシャン監督は現役時代、ミッドフィールダーを務めていた。そして現在、デシャン監督の率いるフランスは、保守的な試合運びにより、才能を機能的に押さえ込むデシャン監督が現役時に得意としたプレイスタイルを特徴に持つチームとなった。

ベルギーは試合を通じたボール支配率は64%だったが、フランスはチームの形を崩さず、FWキリアン・エムバペを中心に何度もカウンターアタックを仕掛けた。エムバペは矢のような走りと相手をあざむくようなボール裁きでベルギーの脅威になっていた。

決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦で2得点を挙げ、国際舞台にその名をとどろかせたエムバペはまだ19歳。この試合でもエムバペは驚くようなヒールパスでFWオリビエ・ジルーに決定機を提供したが、英プレミアリーグ・チェルシー所属のジルーはゴール至近距離からのシュートを防がれてしまった。

ジルーは今大会、これまでに13本のシュートを放っているが、1度も枠内に飛んでいない。それでも決勝でのスターティング・メンバー入りが予想されている。

デシャン監督がジルーを先発で起用し続けることには疑問の声が上がっており、ウスマヌ・デンベレやトマ・ルマルのような才能ある攻撃陣にチャンスが与えられないのはなぜかとの質問も受けている。

しかしデシャン監督は批判する人たちに、決勝戦で延長の末ポルトガルに敗れた2016年のサッカー欧州選手権(ユーロ)以来、主要な国際大会で2大会連続となる決勝進出という結果で答えた。

後半6分に先制すると、フランスはそれ以降、失点を許すような気配を見せず、ベルギーはわずかな反抗を見せたものの敗北を喫した。

ベルギー黄金世代、優勝ならず

ベルギーは大会前の予想で優勝候補の1つに挙がっており、エデン・アザール、ケビン・デ・ブルイネ、ロメル・ルカクなど「黄金世代」の選手たちがついに母国へ優勝を持ち帰るとの楽観論もあった。

しかし、前の試合でW杯優勝5回のブラジルを下したのを頂点として、ベルギーはまた、主要国際大会を心痛と共に終えた。

レッド・デビルズ(サッカーベルギー代表の愛称)はこれまで、W杯、ユーロとも、準決勝敗退が最高成績。W杯の準決勝で敗れたのは今大会が2度目で、前回は1986年メキシコW杯でディエゴ・マラドーナのアルゼンチンに敗北した。

2016年9月にスペインとの親善試合に敗れて以降続いていた24戦無敗の記録も止まった。ロベルト・マルティネス監督にとっては、国際大会では初の敗北となった。

この試合に先発したベルギー代表選手11人のうち10人は英プレミアリーグ所属だった。その1人、マンチェスター・ユナイテッド所属のルカクは、ブラジル戦では素晴らしい働きを見せたものの、この試合ではフランスの傑出したセンターバックの2人、ウムティティとラファエル・バランに抑えられた。ルカクが試合中ボールに触った回数は22回に留まり、この回数は先発出場した選手の中で最低だった。

マンチェスター・シティでプレイするデ・ブルイネも試合を支配できず、主将のアザールは、前半15分にわずかにゴールを外れる低いシュートを放ったほか、もう1本惜しくも弾かれるシュートを放つなど序盤は輝きを見せたものの、徐々に試合から消えていった。

ベルギーにとって唯一の慰めは、今大会であと1戦、試合を残していることだ。ベルギーは14日、イングランド対クロアチアの敗者と3位決定戦を戦う。

イングランド、あるいはクロアチアにとって恐れるべきことは

決勝戦を戦うチームの1枠は埋まり、もう1枠は決定を待っている。

イングランド対クロアチアは互角の勝負となる。スリー・ライオンズ(サッカーイングランド代表の愛称)は、母国で優勝した1966年イングランド大会以来となるW杯決勝進出を狙う。

バルカン半島の一国クロアチアのW杯におけるこれまでの最高成績は、1998年フランス大会での3位。この時は3位決定戦でオランダに勝利した。フランスは優勝候補として決勝戦に臨むが、対戦するのはどちらになるのだろうか?

「イングランドがクロアチアを倒すと予想する」と元スコットランド代表FWのパット・ネビン氏はBBCラジオ5ライブに語った。「イングランドはより強力だし、フランスにも問題を引き起こすだろう」。

英プレミアリーグで活躍した元FWのディオン・ダブリン氏は、「イングランドは『残念だ、フランスはかなりいいチームだし』と考えるだろう。ベルギーも悪くないが、それまでほどの勢いはなかった」と話した。

「W杯準決勝に進出するぐらいのチームだから、組織的にうまくプレイしているのは間違いないが、ベルギーは得点するように見えなかった」

元イングランド代表FWのアラン・シアラー氏はこう付け加えた。「何が起きるにせよ、イングランドの選手たちは英雄として母国に戻ってくる。伝説になって帰ってくる信じられないほどのチャンスを手にしている」。

「あれ以上は望めなかった」

ベルギーのロベルト・マルティネス監督、BBC Oneに出演して:

1度試合が止まった状況(セットプレイ)で差が出た。

僅差の試合で、非常に厳しく、ゴール前でのわずかな運で勝負が決まった。 選手たちの姿勢は素晴らしく、あれ以上は望めなかった。あるチームが勝てばもう一方は負けるという事実を理解しなければならない。我々はできることをやった。

フランスの得点について尋ねられると:

W杯の準決勝では、ああいう細部が重要になる。あと1試合残っているし、確実により高い位置で今大会を終えたいと思っている。後味悪くロシアを去るなど、ベルギーの選手たちにはふさわしくないからだ。

フランスのディディエ・デシャン監督:

最も重要な試合が日曜にある。我々は自分たち自身でW杯決勝進出という大きな権利を勝ち取った。2年前の決勝(2016年のユーロ)では非常に苦しい思いをしたので、今度は勝利を味わいたい。

2年前、決勝で敗れてしまい、準決勝での勝利は何の意味もなくなった。決勝進出で国民に喜びを与えら得れたと思うが、決勝戦ではもっと大きな幸せを届けられるようにしたい。

マン・オブ・ザ・マッチ――ラファエル・バラン(フランス)

セットプレイが印象的なW杯――統計から

  • フランスは1998年、2006年に続いて3度目のW杯決勝進出。欧州の国で決勝進出回数がフランスを上回るのは、ドイツ(8回)とイタリア(6回)のみ
  • 1998年に初めて決勝進出して以降をみると、フランスは他の全ての国より多くW杯決勝に進んでいる(3回)
  • 2016年9月のスペインとの親善試合で負けて以来、ベルギーはあらゆる試合を通じて初めての敗北
  • フランスはこれまでにW杯の試合で3度ベルギーに勝利しており、この回数はW杯で対戦した他のどの国より多い
  • 今大会の得点のうち44%がセットプレイから生まれている(158得点中69得点がセットプレイから。PKを含む)
  • 2/3近いボール支配率(64%)を持ちながら、ベルギーはシュートを9本しか撃てなかった。フランスが放ったシュート数(19本)より10本も少ない
  • アントワーヌ・グリーズマンはフランス代表での最近20試合で20得点に直接関与している(12ゴール8アシスト)
  • グリーズマンは主要国際大会(W杯とユーロ)でフランスが挙げた最近20得点のうち13点に直接関わっている(9ゴール4アシスト)
  • 今大会でのゴール関与数でフランスのグリーズマン(3得点2アシスト)を上回るのは、イングランドのハリー・ケイン(6得点)だけ

(英語記事 World Cup 2018: France reach final after 1-0 win over Belgium