テレビ局側は災害マニュアルに沿った教科書通りの放送をしていたため、「落ち度はなかった」と反論するかもしれない。確かに、「言語情報」において落ち度はなかったのかもしれないが、「非言語情報」から伝わる緊張感が弱かったために、「伝えるべきことが伝わらなかった」のではないか。

 実際、福岡市に住む私にとって、「東京発」のニュース番組は、若干リアリティーに欠けたものに映った。というのも、私が住んでいる福岡市の「一部」に対して、この時点で避難準備情報が発令されていたことがL字画面で確認できたが、「一部」に自分が住んでいる場所が含まれているかが分からなかったのだ。

 このため、テレビの災害情報が、避難の準備をするかどうかの判断材料には全くならなかった。結局、福岡市のホームページを見て、避難準備地域から外れていたことが確認できた。

 また、番組で「土砂災害」や「河川の氾濫」の恐れがあるというコメントは何度も耳にしたが、自分が住む場所にどの程度のリスクがあるかが、テレビの情報では分からず、やはり福岡市の「浸水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」で改めて確認せざるを得なかった。そのサイトでは、刻一刻と変わる近所の川の水位も把握することができた。

 東京発のニュース番組からは、大雨が降り続く地域の住民にとって必要な具体的情報が十分にあったとは言えない。しかも、繰り返された注意喚起も紋切り型で、大災害が現実に発生する恐れが本当にあるとは受け止められるような作りではなかった。

 せめて、大雨が降り続く地域には、地方自治体のホームページにアクセスすれば、地域別の詳細な災害リスクが分かることを伝えて、視聴者を誘導してもよかったのではないか。私の場合、必要な情報は東京発のテレビにはなく、福岡市のホームページにあったのである。

 今回のテレビ報道を見て、大災害にもリアルに対応できる災害マニュアルの再検討が必要ではないだろうか。迅速でスムーズな報道対応のためには、決められた流れで作業を進めるためのマニュアルが欠かせない。
愛媛県大洲市の豪雨で、路上に横転したままの車両=2018年7月8日午前
愛媛県大洲市の豪雨で、路上に横転したままの車両=2018年7月8日午前
 具体的には、どのように情報発信すれば注意喚起のリアリティーが伝わるのかを「言語情報」と「非言語情報」の二つの側面からアプローチしなければならない。そのほか、被災地の人々が望む詳細な情報にいかに誘導するのか、という問題についても検討が必要だろう。

 想定外の自然災害がこれからも発生する可能性はある。まずは、今回の被災地の人々がテレビの情報をどのように受け止めたかを丁寧に検証することから始めたらどうだろうか。