一方、「ネトウヨ」と呼ばれる人々がどのような人なのかは、必ずしもよく分かっているわけではない。「ネット右翼」という正式な呼称からも示唆されるように、ネット上で右翼的な発言を活発に行っている人々を指すと考えられるが、それは「保守」とどの程度重なるのかなど、その像は必ずしも明確ではない。

 そこで、2ちゃんねる利用度および自民党支持とヘイトスピーチ認知との関係をグラフ化したのが、図3である。これによれば、3月調査でも10月調査でも、2ちゃんねるの利用頻度が高いグループほど、ヘイトスピーチを認知している人の割合が高い。

 同様に、自民党支持層ほどヘイトスピーチを認知している人の割合が高い。また、3月調査に比べて10月調査では認知割合が急増している。

 2ちゃんねる利用者や自民党支持者のヘイトスピーチ認知割合が高いのは、2ちゃんねる界隈(かいわい)や自民党支持層界隈でヘイトスピーチが横行しているせいなのかどうかは、別途分析が必要だろう。

 また、2ちゃんねる利用者と自民党支持層で類似の傾向を示すということは、2ちゃんねる利用者に自民党支持者が多いせいかとも考えたが、分析してみた結果、そのような傾向は見られなかった。
図3 2ちゃんねる利用/自民党支持とヘイトスピーチの認知(2017年3月、7月意識調査より,%))
図3 2ちゃんねる利用/自民党支持とヘイトスピーチの認知(2017年3月、7月意識調査より,%))
 では、このような問題のある言説について、ネットユーザーたちはどのように対応すべきだと考えているだろうか。図4は、2017年3月調査で、問題言説に対する対応を尋ねた結果である。

 これによれば、「誹謗(ひぼう)・中傷」「ヘイトスピーチ」「デマ・誤情報」に関しては、いずれも「規制によって防ぐ」が圧倒的に高い割合を占めている。「表現の自由だから仕方がない」という回答は半分程度である。

 「炎上」だけが「ネットリテラシーを身につける」が最も多く、「表現の自由」「規制」と続くが、いずれも同程度である。これは、「誹謗・中傷」「ヘイトスピーチ」「デマ・誤情報」については被害者になることが想定されるのに対して、「炎上」は自分が引き起こしたり、延焼させたりする可能性が高いと認識されているからかもしれない。
図4 ネット上の問題発言にどのように対応するべきか(2017年3月調査より,MA,%)
図4 ネット上の問題発言にどのように対応するべきか(2017年3月調査より,MA,%)
 ヘイトスピーチに対する対応について、2ちゃんねる利用頻度および自民党支持によってクロス集計した結果が図5である。

 これによると、「規制による防止」は、分類にあまり関係なく、高い割合で支持を得ている。一方、「リテラシーを身につけて注意する」と「表現の自由を優先すべき」という対応は、2ちゃんねるの利用頻度が高いグループほど、また、自民党支持層ほど高い割合で支持していることが分かった。

 特に2ちゃんねるのヘビーユーザー層(週に数回以上利用)では、「規制による防止」よりも「メディアリテラシーを身につけて注意する」の方が高い割合で支持されている。これは、2ちゃんねる利用者が伝統的に「リテラシー」に強い自信を持っていることによるのかもしれない。