清水英斗(サッカーライター)

 クロアチアのキックオフでファイナルの笛が鳴った瞬間、フランスは猛然とプレッシングに飛び出した。相手が3試合連続の延長戦を戦っており、さらに休養日も1日短いコンディションの差があった。立ち上がりから、飲み込もうと考えたのだろう。

 ところが、クロアチアの抵抗は予想以上だった。パス回しでプレッシャーを剥がしただけでなく、逆に猛烈なハイプレスを浴びせ、フランスのビルドアップを寸断してしまう。勇猛果敢なクロアチアの前に、フランスは出鼻をくじくつもりが、逆に返り討ちに遭ってしまった。

 MFエンゴロ・カンテ、MFポール・ポグバと、ボール奪取力の高い中盤に対し、クロアチアはMFルカ・モドリッチとMFイヴァン・ラキティッチが引いてボールを受け、相手がどこまで追いかけるべきか、対応を迷わせるポジションを取った。ボールハンターに的を絞らせず、見事な攻撃を展開したクロアチアはポゼッション率(支配率)62%を記録した。

 準決勝までとは異なり、存在感の無かったカンテは、前半27分にイエローカードを受け、後半10分に早々とベンチに退いた。この世界有数のボールハンターを、クロアチアは追い出すことに成功している。

 しかし、劣勢が続いたフランスだったが、先制ゴールは意外な形で転がり込んだ。前半18分、MFアントワーヌ・グリーズマンのフリーキックに反応したFWマリオ・マンジュキッチの頭頂部にボールが当たり、そのままゴールに吸い込まれてしまった。オウンゴールだ。

 逆に、クロアチアのハイテンションが災いした面もあった。このようなゴールへ向かって行く軌道のクロスは、一生懸命にクリアしようとすればするほど、頭や身体のどこかをかすめ、軌道が変わってゴールに吸い込まれやすい。
2018年7月、W杯決勝の前半、競り合うフランスのカンテ(左)とクロアチアのモドリッチ(中井誠撮影)
2018年7月、W杯決勝の前半、競り合うフランスのカンテ(左)とクロアチアのモドリッチ(中井誠撮影)
 はっきりとクリアできないのであれば、見送るのも判断だが、マンジュキッチは頑張りすぎてしまった。また、その届くか届かないか、ぎりぎりのポイントへボールを蹴ったグリーズマンのキック精度もいやらしいのである。

 その後、FWイヴァン・ペリシッチのゴールで一時は追いついたクロアチアだが、前半38分に再びリードを奪われる。グリーズマンのコーナーキックを、ペリシッチが手で防いでしまい、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の指摘と主審のレビューが行われた結果、PKが与えられたからである。