あのエリアでペリシッチが足を高く上げてクリアに行くこと自体が、PKの危険を考えればあまり良いアクションではない。また、決して予測できない軌道ではないのに、手を出した位置も軽率だった。ここでもまた、ボールを懸命にはね返そうとするクロアチアのハイテンションが災いした。

 1-2と追いかける展開で後半を迎えたクロアチアは、さらに波状攻撃へ出た。しかし、後半14分に決定的な追加点を許してしまう。フランスは自陣からヘディングでつないでクロアチアのプレッシングをかわした後、ポグバが右サイドへ糸を引くようなロングスルーパスを送り、快速の19歳、FWキリアン・エムバペを走らせた。

 右サイドを破った後、ペナルティーエリア内のグリーズマンを経由し、ポグバがシュートを放つ。こぼれ球をもう一度ポグバがシュートし、3-1と突き放す決定的なゴールが決まった。

 フランスにとって、あまり守備に献身的でないエムバペの右サイドは頭痛の種だった。クロアチアのサイド攻撃に終始崩されやすい状況であり、試合中にはポグバやグリーズマンから守備に戻れと、エムバペが𠮟責(しっせき)される様子もあった。

 しかし、その一方、速攻から試合を決めたのもエムバペである。守備に難があっても、攻守で差し引きすれば黒字化できる。いかにも若さあふれる19歳の才能だ。

 それが機能したのも、1トップのFWオリヴィエ・ジルーや、セカンドトップのグリーズマンの献身があってのことだ。彼らのハードワーク、ボールを引き出すチームプレーがあってこそ、フランスの宝石箱のようなタレント性は、バランスを保つことができた。

 その後、互いに1点ずつを挙げたが、差は縮まらず。クロアチアの勢いは鬼気迫るものがあったが、判定への不満も重なり、徐々に沈黙していく。最後は足も止まり、4-2でフランスが決勝を制した。
2度目の世界一に輝き、優勝トロフィーを掲げて大喜びするジルー(中央左)とエムバペ(同右)らフランスイレブン=モスクワ(共同)
2度目の世界一に輝き、優勝トロフィーを掲げて大喜びするジルー(中央左)とエムバペ(同右)らフランスイレブン=モスクワ(共同)
 表彰式が終わったスタジアムで、フランスのサポーターはいつまでも歌い続けていた。クロアチアのサポーターは敗戦に落胆しながらも、選手に熱い声援を送り続けた。非常にインテンシティ(強度)が高く、気持ちのこもったファイナルだった。