2018年07月19日 12:54 公開

タイ北部チェンライ県のタムルアン洞窟から救出されたサッカーチームの少年12人とコーチが18日、記者会見を行い、ダイバーたちに発見された「奇跡の瞬間」を振り返った。

1人だけ英語が達者なアドゥル・サモン君(14)は、英国人ダイバーたちが水中から姿を現したときには「ハロー」という言葉しか出なかったと語った。

洞窟内の増水で2週間以上閉じ込められていた少年たちは、体調の確認などのため入院していた病院から18日に退院。それぞれの家に向かった。

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少年たちは、参加する地元サッカーチーム「ムーパ(野生のイノシシ)」のユニフォームを着て会見に臨んだ。サッカー場を模した会場には、「イノシシたちが帰ってくる」と書かれた横断幕が掲げられた。

救助に参加したタイ海軍特殊部隊の隊員たちも、少年たちと一緒に会見した。

少年の1人は、洞窟内の石の壁からしみ出す水を飲んでいたと話した。「水はきれいだった。水しかなくて、食べ物はなかった」。

「タイタン(巨人)」こと、チャニン・ウィブルングルアン君(11)は、「お腹がすくので、食べ物のことは考えないようにした」と語った。

少年たちは先月23日から行方不明になっていたが、今月2日にダイバーたちによって洞窟内で発見された。その後、食料などが海軍特殊部隊によって運び込まれた。

少年たちは、発見されてから最終的な救出を待つ1週間余りの間、救助隊員たちとどのように時間を過ごしたのかについても語った。

タイタン君は、「(ゲームの)チェッカーをした」と話した。「(特殊部隊の)バイトエイさんがいつも勝つので、洞窟の王様だった」。

少年たちと一緒に救出されたコーチのエーカポル・チャンタウォンさん(25)は、救助活動中に死亡した元海軍潜水士のサマン・グナンさんへの哀悼の意を表した。

「我々がそれぞれの人生を生き続けられるよう、サマンさんが救助活動に自分の命をささげたことに、とても感動した。彼の死を知ってみんな衝撃を受けた。とても悲しかった。自分たちがご家族に悲劇をもたらしたように思った」

少年たちの数人は、困難な経験を教訓にすると話した。少年の1人は「もっと気をつけて、充実した人生を生きる」と語ったほか、「この経験で、もっと忍耐力をつけて、強くならなくちゃいけないと思った」と話した少年もいた。

少年たちは今後、不幸な出来事を体験したタイ男性の習慣にのっとり、一時的に出家して仏僧として修行する予定。

少年たちはどのようにして救出されたのか

少年たちとコーチはタムルアン洞窟に1時間だけいて出るつもりだったが、突然の雨による増水で洞窟から出られなくなった。

9日後に英国人ダイバー2人によって発見されたが、当初ははっきりした救出方法は決まっていなかった。

さらに降雨が予想されるなか、危険な救出作戦が実施された。暗く水没した洞窟内を、ベテランのダイバーたちが少年たちを誘導した。

少年1人ひとりに酸素ボンベを持ったダイバー1人が付き添った。途中でパニック状態にならないよう、少年たちは相当量の鎮静剤を投与されていた。救出は3段階に分けられ、3日間にわたった。

救出された13人全員が病院に搬送され、治療や心理的な支援が行われた。


不屈のチーム精神――ハワード・ジョンソン、BBCニュース(タイ・チェンライ)

喜びに満ちた記者会見だった。最初に冗談を飛ばしたのは、タイ海軍特殊部隊のダイバーで、自己紹介の際に「名前はバイトエイです。洞窟の中で一番イケメンでした」と語った。

会見場に爆笑が沸き起こった。最初に発言した少年は、英国人ダイバーたちとコミュニケーションをとったアドゥル君だった。ダイバーたちが何を言っているのか通訳してくれとコーチに頼まれたアドゥル君は、「落ち着いて。そんなすぐ理解できないよ!」と答えたのだと説明。会場にはさらに笑い声が上がった。

少年たちの友人や家族、チェンライ病院の看護師たちは、笑顔でそばから少年たちを励ました。会見の司会者は冗舌で、誰も蚊帳の外に置かれないように気を配った。

どのようにして洞窟に閉じ込められたのかに話題が向くと、会場は少し真面目な空気になった。どうやって安全な場所を見つけたのか説明するコーチに、少年たちはじっと耳を傾けていた。

12人の少年の中で最年少のタイタン君が、お腹がすいてしまうので食べ物のことは考えなかったと語ると、他の少年たちは声をあげて笑った。どんなに困難な状況でも不屈のチーム精神が少年たちを支えていたことを物語っていた。


(英語記事 Thai cave rescue boys relive 'moment of miracle'