2018年07月25日 9:45 公開

ラオス南東部のダム決壊による洪水で、24日までに少なくとも20人が死亡し、100人以上が行方不明となっている。

アッタプー県にある水力発電用のダムが一部損傷しているのが22日夜に見つかり、近隣住民は避難したが、ダムは23日夜に決壊し、鉄砲水が6つの村を襲った。

ラオス国営通信によると、6600人以上が住居を失ったという。

現地の写真から、軒下まで泥水に使った家屋の屋根に、住民が避難している様子がうかがえる。

地元当局は、住民をボートで救出する活動を続けている。さらに、近隣自治体や政府に、衣類や水、食料、医薬品などの支援物資の提供を呼びかけている。

国営メディアによると、トンルン・シースリット首相は予定されていた会議を延期し、アッタプー県サーンサイ郡の被災地を訪れた。

アッタプー県の当局者はAFP通信に対し、洪水被災地は電話が使えない状態になっていると話した。

アッタプー県はラオス最南端の県で、カンボジアやベトナムと国境を接する。農業や林業が産業の中心で、水力発電による電力も主要な輸出品のひとつ。

決壊したダムとは

決壊したダムは、ラオス、タイ、韓国の企業が参加するセピアン・セナムノイ水力発電所の一部。発電所は2つの主ダムと5つのサドルダム(副ダム)からなり、決壊したのは「サドルダムD」と呼ばれるもの。

建設事業に参加する韓国のSKエンジニアリング・アンド・コンストラクションは、22日に最初に亀裂を発見したと明らかにした。

  • 22日午後9時(日本時間同11時)― 「サドルダムD」に部分的な破損を発見。当局が通報を受け、近隣住民の避難開始。修理チームがダムに向かうが、豪雨のため作業難航。豪雨で複数の道路も被害を受けている。
  • 23日午前3時(日本時間同5時)― 亀裂の入ったサドルダムDの水位を下げるため、主ダム(セナムノイ・ダム)の1つから水を放出。
  • 23日正午(日本時間同午後2時) ― ダムの破損状態が悪化する危険の知らせを受け、州政府は下流の住民にも避難を命令。
  • 23日午後6時(日本時間同8時)― ダムの亀裂拡大を確認。
  • 24日午前1時半(日本時間同3時半)までに― サドルダム近くの村が冠水。午前9時半までに、7つの村が冠水。

発電所事業に参加するタイのラチャブリ発電ホールディングは、「相次ぐ暴風雨」によって「大量の水が発電所の貯水池に流れ込んだ」ため、ダムに「亀裂が入った」と発表した。大量増水の結果、水が下流へ流出し、約5キロ離れたセピアン川の流域にも流れ込んだという。

「サドルダムD」は幅8メートル、長さ770メートル、高さ16メートルで、近くの貯水池に水を迂回させるよう設計されていたという。

ラチャブリ発電ホールディングとSKエンジニアリング・アンド・コンストラクションは共に、避難・救助活動に参加していると明らかにした。

地元メディアなどによると、ラオス政府は、メコン川と支流を活用した水力発電事業を強力に推進し、「アジアのバッテリー」を目指している。2017年には46カ所の水力発電所を稼動させ、54カ所が新設中だ。2020年までには、54の送電線と16カ所の変電所を増設する方針。

ラオスはすでに水力発電による電力の3分の2を輸出しており、電力輸出が総輸出量の約3割を占める。

(英語記事 Laos dam collapse: Many feared dead as floods hit villages