他にも、体操や動き作りなどの基本動作の練習は屋内で行う。休憩は木陰の下などを利用し、こまめ過ぎるほどの給水を心がける。やむを得ず炎天下での練習になってもできるだけ簡潔に短時間で終わらせる。市販の塩飴を配布する。万が一に備えて、AED(自動体外式除細動器)などの救急道具を常備する、といった工夫を施し、全国にも暑いことで知られる群馬県ならではの熱中症に気を遣った取り組みがうかがえます。

「何事も『命』にまさるものはありません。私たち上州アスリートクラブも『子どもたちの安全』が大前提であり、練習の成果や練習効率は二の次と考えています。群馬の夏はとくに暑いですから、熱中症対策はやり過ぎるくらいでちょうどいいと捉えています」(白水理事長)

 千葉にある高校陸上の名門校では、ウォーミングアップの体操やクールダウンは日陰で行い、直射日光に当たることをできるだけ避ける。インターハイ前は効率よく練習を行い、無駄に長引かせない。試合の日はこまめに頭頂部や頸部を氷で冷やすなど、練習や試合での注意事項ととともに、毎日の生活から熱中症に結びつくリスクを排除するという意識づけが徹底されています。

「水分やミネラル等の補給は、運動中にこまめにするのはもちろん、その前のご飯でしっかり摂ることが大切です。朝食では汁気のあるもの、できれば温かい味噌汁を食べてほしいですね。また、熱中症に直結しやすい睡眠不足や消化機能の低下は、普段からの自己管理をきちんとすることで避けようと伝えています。そうした一つずつの心がけが質の高い練習につながります」(千葉県のある高校陸上部の顧問の先生)

 夏はなかなか食欲が出ず、食事を簡単に済ませてしまいがちです。ところが、食事をしっかり摂らないと、栄養が脳やカラダに行き渡らず、新陳代謝も悪くなります。やがて気温の変化にも対応しづらくなり、より熱中症になるリスクが高まります。運動時の水分や栄養補給だけでなく、日頃から食事をきちんと摂ることで水分や塩分が補給でき、体温を下げる効果のある汗の出やすいカラダを作るのです。

 その意味では、前出の高校陸上部の取り組みは理に適っていると言えるでしょう。先生のお話からは、熱中症を身近に感じているスポーツの指導者だからこその目配りがあります。
写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 猛暑日が連日続くようになった日本の夏は、もはやひと昔前の夏とは違います。スペインのように午後の2、3時間を仮眠休憩にあてる「シエスタ制度」をすぐに導入するというわけにはいかないかもしれませんが、スポーツをされる方であれば、ご自身の体力や体調、競技特性や練習環境をきちんと整理した上で、決して無理をせず、何より安全にスポーツを楽しむことを心がけましょう。

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