それに引き替え、朝日新聞はどうだ。「モリカケ問題」では、重箱の隅にまで目を光らせた同紙が、もし「言行不一致」を承知で、自社が主催する「炎天下の甲子園」に目をつぶるとしたら、メディアとして自殺行為と言っていいだろう。

 新聞社も企業だ。利益を出さなければ存続はできない。だから夏の甲子園が朝日新聞にとって営業政策上、大きな意味を持つのはわかる。

 しかし、どんな営業政策を講じようとも、新聞にとっての生命線は「読者の信頼」である。「読者の信頼」こそが企業を発展させ、オピニオンリーダーとして影響力を発揮する。

 言い換えれば、「言行不一致」こそ最大のリスクとなり、このことを考えれば、おのずと処し方は決まってくる。

 夏期に開催するのは、長期休暇となる夏休みということもあるのだろうが、どんな理由があるにせよ、「命にかかわる危険な暑さ」の中で大会をやっていいはずがない。これが大前提である。

 炎天下でプレーすることの危険性については、日本高野連も認識しているようだ。昨年5月、当の朝日新聞は「スポーツと熱中症」と題したシンポジウムを開催したが、基調講演した日本高野連の八田英二会長は、こう述べている。

 「夏の大会については確かに、こんな暑い中で子供にスポーツをさせていいのかという厳しいご批判はいただいております。しかし、注意深く対策を立てながら運営すれば、安全に開催することはできると信じています」
あいさつする日本高野連の八田英二会長=2018年6月27日、兵庫県西宮市の甲子園球場(共同)
あいさつする日本高野連の八田英二会長=2018年6月27日、兵庫県西宮市の甲子園球場(共同)
 厳しい批判を受けながら、なぜ「炎天下」の開催にこだわるのか私には理解できない。朝日新聞主催のシンポジウムということで、忖度(そんたく)しての発言ではないかと勘ぐりたくもなるだろう。人命に優先する大義など、あるわけがないのだ。

 夏の甲子園は今大会で100回目という大きな節目を迎える。「暑さの質」が変わったとされる時代に、主催者の朝日新聞はこれからどう対処するのか。あってはならないことだが、熱中症で人命にかかわる事故が開催中に起きたら、誰が責任を取るのか。

 朝日新聞がこのまま「炎天下の甲子園」に目をつぶって開催を継続するなら、熱中症対策を喚起する報道姿勢は欺瞞(ぎまん)と言われても仕方あるまい。