安倍政権が推進する「移民受け入れ」政策は、はたして日本の国益に繋がるのか。40年近く日本で暮らす弁護士でタレントのケント・ギルバート氏(64)が、「在日外国人」の立場からあえて移民問題に斬り込む。

* * *

 そもそも日本は江戸時代に260年もの間、外国人の受け入れを積極的に認めておらず、伝統的に外国人の扱いに慣れていない。かつて日本の飲食店で働く東南アジア女性が「人身売買」と国際的に批判され、先の「技能実習」制度も外国人を使い捨ての労働力にする制度と叩かれている。

 私は1971年の初来日以来、「外国人」として日本と関わるが、アパートの貸し借りから労務問題まで、日本社会は必ずしも外国人に優しくない。これは差別感情というよりは、経験不足によるコミュニケーションの不和が原因と考えられる。

 そうした背景を持つ日本がこの先、安易な移民政策を進めても成功は難しい。まずは配偶者控除の廃止などで女性の社会進出を進め、不足する労働力を自国で補う努力を求めたい。

 その上でどうしても外国人労働者を入れるならば、1910年に韓国を併合した時のように、日本に迎え入れる人々の教育・生活・道徳レベルを上げようという気概と、受け入れ態勢の充実が必要になる。

 移民政策が成功している国は世界に数多い。本気で移民を推進するなら、総理大臣が移民担当大臣を任命して予算をつけ、明治開国期の岩倉使節団のような視察団を各国に送って研究を重ねてから実行すべきだ。
公開討論「テレビ報道と放送法~何が争点なのか~」に出席した米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏=2016年6月、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
公開討論「テレビ報道と放送法~何が争点なのか~」に出席した米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏=2016年6月、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
 そこまでしないと、今の日本の未成熟な外国人政策では、移民も日本人もハッピーになれない。内外の活動家が「不幸」な移民や外国人労働者を支援し、国連の人権委員会などで日本の人権侵害を訴えて、国内秩序を乱す材料を与えるだけとなる怖れすらある。

 外国人参政権の問題と同様に、移民を反日勢力の攻撃材料にしてはならない。

【PROFILE】ケント・ギルバート●1952年、米国アイダホ州生まれ。ブリガム・ヤング大学在学中に19歳で初来日。1980年、大学院を修了し、法学博士号と経営学修士号、カリフォルニア州弁護士資格を取得。東京の弁護士事務所に就職し、法律コンサルタント、マルチタレントとして活躍。『日本覚醒』(宝島社刊)、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社刊)、『日本人は「国際感覚」なんてゴミ箱へ捨てろ!』(祥伝社刊)など著書多数。

関連記事