筆者の所属していた教養ゼミは学年をまたいで親密になりながら、熱心に議論することで有名であった。先輩や同期はマスコミ関係に進む人間が多く、例えば最近『「共感報道」の時代』(花伝社)を出版したジャーナリストの谷俊宏氏は筆者の1年先輩であり、川端容疑者ともども勉学に励んでいた。

 ただ、川端容疑者の報告は、他のゼミ生の報告内容を今でも記憶していることに比して、全く印象に残っていない。地味で目立たず、あまり積極的に発言もしなかった。

 コンパの席上でも、他のゼミ生が政治から文化の話題まで幅広く談論風発する中で、川端容疑者は寡黙な人という印象であった。簡単に言うと、華はないが、実にまじめという印象だ。

 筆者は海外放浪をして1年留年したので、川端容疑者の方が先に卒業していった。その就職先が科学技術庁(現文科省)と知ったときは、地道で手堅いな、となんとなく納得したものである。

 今回、このデタラメとしかいえない汚職の報を聞いて、「彼は昔の彼ならず」なのか、という素朴な感想を持つ。それとも、文科省という組織そのものが、あの実直な青年をここまで堕落させたのだろうか。

文科省国際統括官の川端和明容疑者
=2018年7月撮影
 この問題も、文科省の構造的なものかどうか検証が求められるが、他方で、この事案でも「反安倍無罪」的な報道姿勢がありはしないだろうか。例えば、現状で2人の野党議員の関与が噂されている。すでに一部の識者はラジオなどでその名前も明らかにしている。

 だがマスコミ各社の報道の動きは極めて鈍い。もちろん野党自体にも追及の声は皆無に近い。テレビのワイドショーも、普段から「モリカケ」問題で取るに足りない情報だけで大騒ぎし、番組を挙げて政権批判を繰り返してきた姿勢とあまりに対照的である。

 ひょっとしたら、モリカケ問題であまりにも官僚側を「称賛」しすぎてしまった反動で、文科省への腐敗追及の手が緩んではいないだろうか。まさかとは思うが、「反安倍無罪」がマスコミにありはしないか、一つの注目点である。