参考までに、民進党についても同様の比較を行ってみると、民進党でも各世代とも投票割合が支持割合を上回ってはいるものの、その乖離幅は全世代を通じてほぼパラレル、つまり均等となっていることが分かる。

 このことから、自民党では、特に若い世代において、実力以上に票が集中していることが指摘できる。
(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
 上で見たような政党支持割合と投票割合との差は何に由来するのだろうか。結論を先に言ってしまえば、この差は無党派層が原因である。
(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
 つまり、無党派層とは、普段は特定の決まった政党を支持している訳ではないものの、選挙に際しては、何らかの理由により、ある政党、現在の文脈で言えば、自民党に投票することになる。しかも、無党派層は若い世代ほど多い。逆に言えば、概して見れば高齢世代ほど特定政党への支持者が多い。やはり、若い世代ほどイデオロギー・フリーなのだ。

 このような無党派層はなにを手がかりにある政党に投票し、別の政党には投票しないのだろうか。小選挙区制とは、誤解を恐れずに言えば、民意を拡大して議席数に変換する選挙制度であり、政権獲得を目指す政党は、マニフェストを掲げ、民意争奪戦を繰り広げることになる。

 相対的に多数の民意を獲得できた政党が政権の座につき、マニフェストを実行すべく多数決により決定を重ねていく。こうした民意獲得競争において重要となるのはイデオロギーに基づいて支持してくれる忠実な固定層であることはもちろんであるが、イデオロギー・フリーが進行し、有権者の政党離れが進行している現状下では、無党派層の獲得が何よりも重要となっている。

 実際、第24回通常選挙では、全体的には無党派層は自民党支持層の34.6%に次ぐ32.2%と第二党の民主党(11.9%)を大きく上回る規模であり、特に、50歳代以下では第一党の自民党を上回っている。つまり、固定支持層を押さえた上でより多くの無党派層、要すれば若い無党派層を獲得した政党が政権を獲得できるのであり、極論すれば、無党派層が選挙結果を左右することができるのだ。
(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
(出所)公益財団法人明るい選挙推進協会資料により筆者作成
 上で見たように、またこれまでも繰り返し指摘してきた通り、若い世代ほどイデオロギー・フリーな無党派層であり、その多くは、時々の政権与党に対して、業績評価・経済投票を行うものと考えられる。現役世代や社会に出たばかりの新米世代にとっての一番の関心事は、雇用と所得であろう。安定した生活を送るためには、雇用と所得が保障されている必要があるからである。

 そこで、図6、図7で雇用関連指標の最近の推移を見てみると、失業率は趨勢的に低下を続け、有効求人倍率も上昇している。特に、パートを除く有効求人倍率は2014年12月に、正社員有効求人倍率も2017年6月には1を超えてさらに上昇を続けている。
(出所)総務省統計局「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」により筆者作成
(出所)総務省統計局「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」により筆者作成
(出所)文部科学省資料、厚生労働資料より筆者作成
(出所)文部科学省資料、厚生労働資料より筆者作成
 内定率も高卒大卒ともに上昇を続けているし、初任給も増加を続けている。こうした雇用関連指標の改善は実質的に第2安倍政権発足後勢いを増している。であるとすれば、若者世代にとっては、政権与党の業績は抜群に素晴らしく、モリカケのような「スキャンダル」があったとしても、アベノミクスに代わる建設的かつ説得的な経済政策を提示できない、批判ばかりの野党に敢えて乗り換える誘因は存在しないと言えよう。