川上和久(国際医療福祉大学教授)

 「疑似相関」という用語は、統計学で必ず習う用語である。一見、相関があるように見えながら、同じ潜在因子と相関があるから見かけ上相関があるように見えるだけで、実は相関がない。

 「AとBは相関がある」「BとCは相関がある」、だから「AとCは相関がある」という論理は、統計学で疑似相関を学んだ学生なら、危険な論理だということを知っているはずだ。

 「地方在住者は認知症の比率が高い」というデータがあったとして、「地方に住むと認知症になりやすい」という結果になるだろうか。これも典型的な疑似相関で、「高齢者には認知症が多い」「高齢者は地方に住んでいる比率が高い」ということから、「高齢化」という潜在因子があって「疑似相関」になっているにすぎない。

 「(10歳代から30歳代は)一番新聞を読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党なんだ」。6月24日、麻生太郎副総理兼財務相が新潟県新発田市の講演で、10歳代から30歳代で自民党支持が高いことを指摘した上でこのように持論を展開し、例によって物議を醸した。

 教養溢れる政治家である麻生氏が疑似相関のことを知らないはずはないだろう。それを承知した上での、「自民党支持」=「新聞を読まない」という「カマシ」だったと、ここでは好意的に解釈しよう。

 確かに「若者は新聞を読まない」は、麻生氏の指摘通りであり、深刻な問題である。朝、家に届いた新聞を父親が読み、父親が仕事に出掛けた後、学校に行くまでの時間で主要な記事をナナメ読みし、ちょっと大人になった気分を味わう。筆者のような還暦男が小中学生だったころの昭和40年代のノスタルジックな「新聞で1日が始まる風景」は、もはや遠い昔のことになった。
2018年7月、自派の夏期研修会で講演する麻生太郎副総理兼財務相(酒巻俊介撮影)
2018年7月、自派の夏期研修会で講演する麻生太郎副総理兼財務相(酒巻俊介撮影)
 実際、新聞という存在自体が、今の若者にとっては遠い存在になっている。私は大学で「新聞学」を講じているが、自宅通学生は家で新聞を定期購読しているものの、下宿生で新聞を定期購読している学生はほぼ皆無だ。

 日本新聞協会のデータでは、2000年の段階で、朝夕刊セットを1部とした新聞の発行部数は約5371万部、1世帯当たりの部数は1・13部あった。ところが、最新の2017年になると、発行部数は約4213万部と2000年の約78%に落ち込んだ。1世帯当たりの部数は0・75部で、単純に言えば4世帯に1世帯が新聞をとっていない、ということになる。