共産党の小池晃書記局長は、麻生氏の発言を受けて、「紙の新聞に普段から親しみのない若い層の人たちに『しんぶん赤旗』の電子版を広げて、そういう人たちが読めばみんな共産党支持になる状況を作り出したい」と意気込みを語った。紙で配達する新聞が衰退していく中でも、若い世代がさまざまな政治的課題について、政党機関紙や新聞の電子版を通して政治的社会化を図っていけるように不断の努力を行うことが求められよう。

 「新聞を読まなければ自民党支持」などとあぐらをかいている場合ではないのである。もっとも、麻生氏は「活字離れ」という点ではフロントランナーとして知られている。

 何といっても、愛読書がマンガの『ゴルゴ13』である。活字至上主義の世代は眉をひそめたが、漫画世代の若者からは拍手喝さいを浴びた。え、ひょっとして麻生氏は時代を先取りしている? この世の中、「活字離れ」が続いて政治自体も変わっていくのだろうか。

 東京・神保町で創業した「五車堂書房」は1967年から国会に書店を出店し、政治家の読書傾向をつぶさに見てきた。五車堂書房の幡場益(はたば・すすむ)店主はかつてメディアのインタビューに答え、伊東正義元外相と倉成正元外相、前尾繁三郎元衆院議長は大変な読書量で「政界の三賢人」とも称され、月に500万円も本代に費やしたこともあったと語っている。

 同時に、欧州や米国の政治家は、ギリシャやラテンの古典を勉強しており、日本でも人の上に立つ人は、中国の陽明学や帝王学を学ばないといけないが、あまり読む政治家もいなくなったと慨嘆している。

 豊富な読書量に裏付けられた「賢人政治」の時代も今は昔、愛読書は漫画という政治家が若者を中心とする有権者を引きつけ、政治に活字はいらない、とばかりに疑似相関もなんのその、放言連発で政治を革新する時代が来るのだろうか。
2016年11月、京都国際マンガミュージアムの10周年記念式典に駆けつけ、蔵書や展示物を鑑賞する麻生太郎財務相(右から2人目)=寺口純平撮影
2016年11月、京都国際マンガミュージアムの10周年記念式典に駆けつけ、蔵書や展示物を鑑賞する麻生太郎財務相(右から2人目)=寺口純平撮影
 それとも「活字離れに目くじらを立てる世代は時代遅れだ」と言われる日が来るのだろうか。「放言大臣」麻生氏はマンガのような政治を先取りしているのか。個別の政策には問題を感じながらも、感性で「まあいいや」と流すような世論は、批判しかできない野党のだらしなさがあるにせよ、どこかマンガチックだ。

 「若者はマンガが好きである」「麻生氏はマンガが好きである」、すなわち「若者は麻生氏が好きである」などという疑似相関は…いや、まさかとは思うが…。