第二の理由は、なぜ安倍首相は麻生、二階の両氏に媚びへつらうのか、他の派閥ではダメなのかである。理由は、麻生、二階の両氏には、財務省と創価学会がもれなくついてくるからである。

 麻生氏は言わずと知れた財務省、特に主計局の走狗(そうく)である。自身の総理大臣時代から消費増税への道筋をつけ、常に増税を迫り、金融緩和への懸念を示す。アベノミクスがどうなろうが知ったことではないのだろう。それが財務省の総意ならば。

 麻生氏が罪深いのは、財務省増税原理主義派の走狗として消費増税8%を押し付けてきたことだ。あの時は、霞が関官僚機構の頂点に位置する時の財務事務次官、木下康司氏の号令により、自民党の9割、公明党の全部、民主党幹部、財界と労働界の主流派、6大新聞と地上波キー局のすべてが、消費増税8%を迫り、安倍首相は無残にも屈した。

 結果、「2年で景気回復」の約束はどこへやら、いまだにデフレから脱却していない。安倍首相も学習したのか10%への増税は延期したが、来年の10月には予定通り増税すると公言している。何が怖いのか知らないが、安倍首相も財務省を敵に回したくないらしい。

 二階氏の権力の源泉は創価学会と公明党との人脈である。先の新潟県知事選挙でも、二階氏が頭を下げたので、投票日直前に創価学会に動いたと報じられる。これまで安倍首相は、あらゆる国政選挙で勝利してきた。ゆえに、安倍首相は「一強」と呼ばれる。しかし、すべては創価学会のおかげである。

 今や昔となったが、昨年の秋までは小池百合子東京都知事が率いる都民ファーストが日の出の勢いだった。たった1年前の都議会議員選挙で自民党は大敗した。特に無残だったのが1人区である。自民党は1勝6敗だった。
都議選で当選を決めた都民ファーストの会の候補者名に花を付ける小池百合子都知事=2017年7月、東京都新宿区(大西正純撮影)
都議選で当選を決めた都民ファーストの会の候補者名に花を付ける小池百合子都知事=2017年7月、東京都新宿区(大西正純撮影)
 唯一の勝利は、島嶼(とうしょ)部。新党が絶対に勝ちようがない地区だけである。なぜ、ここまでの大敗を喫したか。創価学会の支援が得られなかったからである。東京も西部は電車も走っていないような超田舎だが、そのような地域ででも創価学会の支援を得られないと勝てない。自民党の組織力とはその程度のものであり、「一強」とは砂上の楼閣なのだ。

 自民党が過半数を得る組み合わせなど、いくらでもある。その中で麻生派と二階派を主流派としたい理由は、財務省と創価学会・公明党との協調を維持できるからなのだ。

 第三の理由は、政策で無理をしていないことだ。自ら各界からブレーンを集めて「日本のグランドデザイン」を描いた池田勇人内閣まではともかく、佐藤栄作内閣以降の自民党は、官僚機構をシンクタンクとして活用してきた。愚行である。

 一般に、近代政党は独自のシンクタンクを有する。行政権力を握る官僚機構に対抗する知見を身につけ、立法府としての役割を果たすためだ。要するに、官僚に騙されないようにするためだ。また、官僚は生態的にポジショントークから絶対に離れられないから、官僚と話す前に勉強しておく。ところが、自民党のように官僚機構をシンクタンクとした場合、官僚が間違えたらどうするのか。政治そのものが間違う。

 安倍首相もご多分にもれず、官僚機構に依存しきっている。それでも財務省に対しては、それなりにモノ申す姿勢はある。消費増税10%とて、二度の国政選挙での信任を得て延期するという大仰かつ意味不明なやり方であったが、延期した。

 ところが、法律を握る内閣法制局に対しては、最初からお手上げである。嘘だと思うなら、安倍自民党がまとめた「憲法改正案」を一読してみるといい。内閣法制局の解釈を条文化しただけである。内閣法制局とは、日本国憲法の解釈を一手に握ってきた、戦後レジームの総本山である。その法制局の解釈を条文化する案を提示するなど、何の冗談だろうか。