山田順(ジャーナリスト)

 的場文男騎手が、地方競馬の日本最多勝記録7152勝達成を確実にしている。61歳。達成すれば還暦を過ぎての快挙であり、今後、この記録が破られることはないだろう。

 的場騎手と言えば「大井の帝王」と称され、圧倒的な存在感を、なんと34年間に渡って示してきた。「歌は世につれ」と言うが、競馬も同じく「世につれ」である。また、競馬はある意味で文化や社会の価値観の反映でもある。

 そこで、的場騎手の記録と業績に関しては他の執筆者にお任せすることにし、本稿では私見をたっぷり入れて、地方競馬に関して論考してみたい。

 筆者は最近、北欧に初めて行き、北欧諸国がどこも「ギャンブル天国」なのに驚いた。特に、フィンランドは「いつでもどこでもなんにでも賭けられる」という環境が整っていて、人々が気軽にギャンブルを楽しんでいた。フィンランドといえば、国連の「世界幸福度ランキング」(2018年3月発表)で世界一を獲得した国である。その幸福の一つにギャンブルの自由があるのだろうか。

 なにしろ、ヘルシンキ中央駅の構内にスロットマシンが置かれていて、ユーロのコインを入れてプレーができる。駅を出ると、左側の広場を挟んで「カジノ・ヘルシンキ」がある。日本で言えば、東京駅構内にスロットマシンが置かれ、駅のすぐそばにカジノがあるようなものだ。

 さらに、スーパーマーケット、KIOSKI(キオスキ=日本のコンビニに当たる)にもスロットマシンが置かれ、どこでも市民がギャンブルを楽しんでいる。もちろん、バーに行ってもマシンが置かれている。また、キオスキでは「ユーロジャックポット」という「lotto」やそのほか各種の「lotto」(宝くじ)、サッカーくじの「toto」まで、なんでもかんでも売っているし、これらはみなネットでも購入できる。
ヘルシンキ中央駅近くにあるカジノ・ヘルシンキ(左、ゲッティイメージズ)
ヘルシンキ中央駅近くにあるカジノ・ヘルシンキ(左、ゲッティイメージズ)
 もちろん、競馬もある。ヘルシンキの隣、エスポー市にはフィンランド最大のヴェルモ競馬場があるほか、全国数カ所に競馬場がある。ただし、ジョッキーレースではなく、ハーネスレース(繫駕速歩(けいがそくほ)競走)である。

 ヘルシンキから約500キロ北の田舎町、カンヌスに用があって行った際、町の郊外で偶然、草競馬のコースを見つけた。こんな田舎町にも競馬があるのかと立ち寄ってみると、コース脇の厩舎(きゅうしゃ)に1頭だけ馬がいて、厩務(きゅうむ)員が出てきた。話しかけてみると、「調教師はスウェーデンに出掛けて、この馬をいま任されている。これから調教する」と言うので、見せてもらった。