2018年08月06日 14:30 公開

南米ベネズエラ政府は5日、ニコラス・マドゥロ大統領の暗殺未遂に関与した疑いで容疑者6人を逮捕したと発表した。

6人は首都カラカスで4日開かれていた軍事パレードの最中に、爆薬を積んだドローン(小型無人機)2機を爆発させたグループの一部だと、ネストル・レベロル内務相は述べた。

マドゥロ大統領は犯人に「最大限の罰」が与えられると警告している。

マドゥロ氏は爆発についてコロンビアを非難したが、証拠は示さなかった。

コロンビアは自国に向けられた非難を「事実無根」だと述べた。

ベネズエラ政府は反政府勢力も名指ししており、新たな弾圧の恐れも出ている。

多くの反政府勢力指導者が政府に嫌がらせを受けたとして既にベネズエラを去っている。同国の刑務所には200人以上の政治犯が収容されているとの報道もある。

一方、ブラディミル・パドリノ・ロペス国防相は国営テレビで、大統領への絶対的な忠誠を名言した。

ロペス国防相は「我々は決意している。国土を、政体を、民主主義を、法制度を守るという決意だ」と述べた。

特派員によると、ベネズエラを襲う経済危機と政治的混乱の真っただ中で、マドゥロ大統領は権力維持を軍に強く依存しているという。

攻撃とみられる出来事についてわかっていること

爆発は国家警備隊の創立記念式典でマドゥロ大統領が演説している最中に起きた。

演説を収めた動画には、爆発音が聞こえると、大統領が上の方を見上げ、兵士数十人が走り去る様子が映されている。

ホルへ・ロドリゲス通信情報相は、大統領が演説していた場所の近くで爆薬を積んだドローン2機が爆発したと述べた。

ベネズエラ当局によると、兵士7人が負傷した。

マドゥロ大統領はその後、爆発が自分の決意を強くしたと語った。

「私は無事だ。生きている。そしてこの攻撃の後、私は革命の道を進むとこれまでよりも強く決意している」とマドゥロ氏は話した。

「正義を! 最大限の罰を! 容赦の余地はない」

レベロル内務相は、「テロリストと雇われた殺し屋」6人が逮捕されたほか、車両数台が押収され、複数のホテルが捜索を受けていると述べた。

考えられる黒幕は

マドゥロ大統領は、隣国ベネズエラや「右翼の陰謀」をけしかける米国内の勢力が、自分を殺そうとしたとして非難した。

コロンビア政府はマドゥロ氏の主張を「事実無根」と述べ、一切の関与を否定している。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が爆発に対する米国の関与を全否定し、爆発が「マドゥロ政権自身によるでっち上げ」の可能性もあると付け加えた。

ロドリゲス通信情報相は、政権に反対するベネズエラの右翼勢力が攻撃を実行したと非難した。

マドゥロ氏が再戦され新たに6年の大統領任期を得た6月の同国大統領選を引き合いに、ロドリゲス氏は「選挙で負けた後、彼らは再び失敗した」と述べた。

しかし、野党「民衆の意志」のハスレル・イグレシアス青年部長はBBCに対し、「20年以上一度も暗殺を計画してこなかった反政府勢力が今回の件を企てるとは考えにくい」と述べた。

一方、「Tシャツを着た兵士たち」を名乗る詳細不明の団体がソーシャルメディア上で犯行声明を出した。

声明では証拠は何も示されず、同団体はメディアの取材にも答えなかった。

混乱に輪をかけるように、現地の消防士が事態に対する政府の説明に異議を唱えているとAP通信は伝えている。

AP通信によると、匿名を条件に話した消防士3人は、実際に起こったのはアパートの建物内部にあったガスタンクの爆発だったと述べた。ただ3人は、それ以上の詳細は語らなかったという。

マドゥロ大統領とは

マドゥロ氏は、二分する世論に対し、故ウーゴ・チャベス前大統領の路線をほとんど受け継いで対処してきた。

同氏が大統領の座を引き継いだ2013年以来、自国における民主主義の軽視や人権侵害について、マドゥロ政権は世界中の多くの国々から広く非難されている。

与党の支配下にある司法機関に厳しすぎる訴追をさせ、政敵を拘束しているため、反対勢力はマドゥロ氏を「非常な独裁者」と表現する。

5月のマドゥロ氏再選は、豊富な石油資源を持つベネズエラから国民数十万人が押し出されるほどの大きな経済危機の最中だった。

しかし、マドゥロ氏や同氏が率いるベネズエラ統一社会党(PSUV)の支持者にはいまだに、核となる忠実な層がいる。この強い支持者層は、ベネズエラの問題は政府によって引き起こされたものではなく、米国などの勢力が原因だと述べている。

(英語記事 Venezuela 'drone attack': Six arrests made