西条昇(アイドル・お笑い評論家、江戸川大教授)

 今年4月、当時TOKIOのメンバーだった山口達也が、女子高生への強制わいせつ容疑で書類送検された件で、メンバーの国分太一が司会を務める『ビビット』(TBS系)で山口に成り代わって謝罪し、世間の注目を集めた。

 また、ジャニーズ事務所に所属するタレントたちもそれぞれキャスターや司会を務める番組で次々に厳しいコメントを口にした。

 『サンデーLIVE!!』(テレビ朝日系)の東山紀之(少年隊)、『NEWS ZERO』(日テレ系)の櫻井翔(嵐)、『news every.』(日テレ系)の小山慶一郎(NEWS)らに加え、山口自身も直前まで『ZIP!』(日テレ系)の司会をしていたこともあって、ジャニーズアイドルの「キャスター路線」の進行度合いを多くの人が再認識する結果となった。

 続いて、6月に小山が未成年女性との飲酒により『news every.』への出演を自粛すると、一部で批判的な声が強まった。NHKの元キャスター、池上彰氏は文春オンラインの記事(6月6日)で「芸能人がニュースを伝えるのは国際的に見て日本ならではの奇観です」と語っている。

 確かに、ポップミュージシャンのジャスティン・ビーバーがニュース番組のキャスターを務める姿は想像もできない。日本でも70~80年代まで、フォーリーブスや光GENJIのメンバーのキャスター進出などは考えられないことだった。

 では、どうして現在のような状況に至ったのか。まず、80年代に起こった「MANZAIブーム」でお笑い芸人の活躍の場が広がったことが要因の一つだろう。89年に島田紳助の総合司会による報道・政治討論番組『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)がスタートし、『ビートたけしのTVタックル』(同)が始まったのも同年のことだ。

 一方で、88年にフジテレビにアナウンサーとして入社した有賀さつき、河野景子、八木亜希子の活躍で「女子アナ」という言葉が定着して以降、ルックス重視の傾向が強まったことで女子アナのタレント化とアイドル化が進んでいる。
フジテレビの新人女子アナ3人組(当時)。左から河野景子さん、八木亜希子さん、有賀さつきさん
フジテレビの新人女子アナ3人組(当時)。左から河野景子さん、八木亜希子さん、有賀さつきさん
 ジャニーズアイドルの在り方も、90年代に入って大きく変わり始めた。SMAPが91年にCDデビューを果たすもののヒットに結びつかず、バラエティー番組とドラマに本格的に挑戦するようになった。

 このため、それまでの10代の女性ファンを対象とした存在から、老若男女に親しまれる国民的アイドルへと成長を遂げたのだ。彼らの後に多くの後輩グループが続き、30代、40代になってもアイドルで居続けられる状況ができあがっていった。

 バラエティーの司会ができる所属タレントが増えた次の段階として、事務所がニュース番組への進出を考えるのも当然の流れと言えた。キャスター路線の口火を切ったのは、2006年から『NEWS ZERO』の月曜日のキャスターを務める嵐の櫻井である。