杉江義浩(ジャーナリスト、放送プロデューサー)

 最近はテレビのワイドショーや報道番組に、ジャニーズをはじめ、たくさんの芸能人が出ています。番組に出演させるのはいいけれど、ニュースを扱う場合に、彼ら芸能人の立ち位置を間違えると、番組自体が大変なことになってしまいます。さらに言えば番組自体と言うよりも、テレビというメディア自体が大変なことになると、私は思っています。

 今年4月に明らかになったTOKIOの元メンバー、山口達也さんの強制わいせつ事件を受けて、『ビビット』(TBS系)でニュースキャスターを務める同メンバー、国分太一さんが番組冒頭で謝罪をする光景に、私は強い違和感を覚えました。『ビビット』を見たのは、その時が初めてでしたが、国分さんに対して「なんで君がニュースキャスターをやっているの?」という違和感でした。

 国分さんとはお仕事をご一緒させてもらったこともあり、実に魅力的な好青年だと感じていましたが、そもそも報道番組でニュースを伝えるのは「ニュースの素人」にはできるわけがないと私は考えています。彼らは歌ったり踊ったり、人を楽しませることのプロであり、ニュースのプロではありません。ニュースのプロでなければ、ニュース解説の聞き手役になることはあっても、ニュースを伝える側には立つべきではないのです。

 6月に同じジャニーズのアイドルグループ、NEWSの小山慶一郎さんと加藤シゲアキさんが、未成年の女性に酒の一気飲みを煽っていたという事実が週刊文春の報道で明らかになり、大きく騒がれました。このときにも小山さんが『news every.』(日テレ系)のメーンキャスターを務めていたこと、加藤さんが『ビビット』にコメンテーターとして出演していたということで、問題が大きくなりました。

 私は『news every.』も『ビビット』もあまり見ていませんでしたが、これほどまでにニュースキャスターという仕事を、畑違いのアイドルやお笑いタレントに任せている、最近の民放各局のやり方に、危機感を募らせました。視聴率を稼ぎたいのは分かるけど、報道機関としてやっていいことと悪いことがあり、その一線を越えてしまったのが、素人にニュースを扱わせるという、昨今の民放の「ニュース情報バラエティー」の傾向だと思うのです。

 別にどんな芸能人がどんな不祥事を起こそうと、私は個人的に何の興味も関心もありませんが、日本の報道番組がその作り方からしておかしな状況に陥っているのだとすると、テレビ屋の一人として黙っているわけにはいきません。
元NHKキャスターの池上彰氏
元NHKキャスターの池上彰氏
 最近の日本の報道番組は、記者が書いたニュース原稿をアナウンサーが読み上げるだけの「ストレートニュース」よりも、ニュースを伝えた上で、それをより分かりやすく解説し、興味深くなるようワイドショーに仕立てた「ニュース情報バラエティー」の方が増えています。それ自体は決して悪い傾向ではないと思います。芸能人やタレントが参加することにより、ニュースがより身近で親しみやすいものに感じられるからです。

 私自身もかつてNHKでジャーナリストの池上彰さんと苦楽を共にして『週刊こどもニュース』という、ニュースと子供向けバラエティーを合体したような番組を開発し、8年間にわたって担当した経験があります。初代お母さん役を女優の柴田理恵さんにお願いし、お父さん役の池上彰さんが家族にニュースをかみ砕いて、興味深く解説するという、当時としては斬新なスタイルだったと思います。

 ストレートニュースの部分は、豚のアニメキャラクターが伝える形でしたが、ナレーションはNHK報道局から正式に上がってきたニュース原稿を使いました。それをNHK報道局のベテラン記者がリライトした、オリジナルのニュース原稿に仕上げ、声優の龍田直樹さんが正確に読み上げる、という手法をとりました。