2018年08月09日 14:00 公開

ウェスト・ハリウッド市議会は7日、ハリウッドの「ウォーク・オブ・フェイム(名声の通り)」からドナルド・トランプ米大統領の名前入りの「星」を撤去することを満場一致で可決した。しかし、歩道にはめ込まれたトランプ氏の星が、通りから消えることはなさそうだ。

ウェスト・ハリウッドのジョン・ドゥラン市長はBBCの取材に対し、電子メールで「ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに星を獲得するのは名誉だ。しかしその人物がマイノリティーや移民、イスラム教徒、障害を持つ人々、女性を軽蔑し攻撃するなら、もはやその名誉は存在しない」と話した。

しかし、実際にこの観光地を管理しているのは市ではなく、ハリウッド商工会議所だ。

ドゥラン市長は、市議会にウォーク・オブ・フェイムについて直接的な権限がないことを認めた上で「商工会議所次第だ」と述べた。

市議会が特定の星の撤去を求めるのは、今回が初めて。

トランプ氏の星は繰り返し破壊行為にあっており、そのたびに高額な修復費がかかる。今回の投票はこうした事情を受けて行われた。

最近では7月25日、男がつるはしでトランプ氏の星を破壊した。スプレーインキでかぎ十字が描かれたこともある。星の周りにミニチュアの壁が張りめぐらされたり、一時は「#IResist(私は抵抗する)」というステッカーがたくさん貼られていた。

ハリウッドの「星」を手に入れるには?

ウォーク・オブ・フェイムには2600人以上の著名人が名を連ねており、商工会議所は月に平均2人を新たに選出する。

ファンを含め誰でも、映画やテレビ、音楽、演劇、ラジオなどで活躍するスターを候補として推薦することができる。しかし、申請手続きは非常に長い。

もちろん、対象となった著名人自身が、「星」を受け入れなくてはならない。ジュリア・ロバーツ氏やロバート・レッドフォード氏、ダスティン・ホフマン氏などの星がないのはそのためだ。

ウォーク・オブ・フェイムのウェブサイトによると、申請には適性や受賞歴のリスト、コミュニティーへの貢献度、5ページ以内のプロフィールなどが要求されるが、最も重要なのは4万ドル(約445万円)の申請費だ。

この申請費は星の製造・設置・保守にあてがわれる。

申請が受理されると、委員会はこの著名人が業界で目覚しい活躍をしているか、5年以上活動しているか、適切な社会貢献をしているか、そして選出された場合に表彰式に出席する意思があるかなどを見極める。

時には、星を獲得する前に「数年分の申請履歴」が必要になる場合もあるとしている。

これまでに撤去された星は?

現時点で、ウォーク・オブ・フェイムから撤去された星はない。

性暴力被害者を支援する「#MeToo」運動が起きた際には、ハリウッド商工会議所がビル・コズビー氏やケビン・スペイシー氏の星を撤去するかどうか議論が持ち上がった。

しかし昨年11月、商工会議所は「答えはノーだ」と表明した。

「ウォーク・オブ・フェイムは歴史的な名所だ。この通りに加えられた星は、ウォーク・オブ・フェイムの歴史的な意匠の一部になったと考えられる。なので星を撤去したことはない」と商工会議所は当時、説明した。

セクハラ疑惑が浮上して以降、コズビー氏の星は何度か破壊されている。

米誌バラエティーによると、商工会議所はこれに対し「誰が星を授与されたか、その選択に納得のいかない場合、カリフォルニア州の名所を破壊するより前向きな方向に、その怒りを向けてほしい」と述べている。

なぜトランプ氏

トランプ氏は2007年、20年以上にわたりミス・ユニバース美人コンテストを制作した功績を称えられて星を受け取った。NBCで放送されていた「ジ・アプレンティス」が成功したからではない。

トランプ氏は2015年にミスUSAとミス・ティーンUSAを含むミス・ユニバース・オーガニゼーションを売却している。

ウォーク・オブ・フェイムに星を持っている大統領はトランプ氏だけではない。ロナルド・レーガン元大統領も、その俳優としてのキャリアから1960年に星を受け取っている。

最近では、リアリティー番組のスター、キム・カーダシアン氏のファンから同氏のウォーク・オブ・フェイム入りを求める声があがったが、合格は難しそうだ。

ハリウッド商工会議所の代表は米誌ハリウッド・リポーターに対し、カーダシアン氏は受賞歴もなく俳優としてもゲスト出演にとどまっているため、対象外だと話した。

「リアリティー番組のスターが対象となるかは言えない。今は我々の範ちゅうにはない」

ウォーク・オブ・フェイムの成り立ちは?

ウォーク・オブ・フェイムはハリウッドの15区画にまたがって設置されている。

最初のアイデアは1953年、ハリウッド商工会議所の会長だったE・M・スチュアート氏によって発案された。

1956年、ロサンゼルス市はこのアイデアを審査し、承認した。

ウォーク・オブ・フェイムをめぐる最初の議論はその直後、チャールズ・チャップリン氏の息子が、父親がリストから外されたことを不服として40万ドルの損害賠償を求めたことに始まった。

裁判所が計画続行の判断を下した後、1960年にスタンリー・クラマー監督が星を刻んだ最初の1人となった。

1961年、商工会議所は選出プロセスに「継続的な批判と虐待」が発生しており、批評家が「2つの部類、つまり間違った名前が含まれているという人と、ひいきの人物が除外されているという人に分かれている」と述べた。

チャップリン氏は1972年に星を獲得した。

その他、次のような著名人がウォーク・オブ・フェイム入りしている。

  • ボクシングのモハメド・アリ選手の星は、本人の希望でドルビー・シアターの壁に設置されている。そのため、ウォーク・オブ・フェイムで唯一、踏むことができない。
  • ウォルト・ディズニー社のミッキーマウスは初めて星を獲得したアニメーションキャラクター。最近になってミニーマウスにも星が与えられた。
  • マリリン・モンロー氏の星は、ウォーク・オブ・フェイムの中でも特に人気が高い。

(英語記事 Why Trump will keep his Hollywood star