ワシントンでの講演後、平成28年2月3日の衆議院予算委員会で、LGBTについて加藤勝信・一億総活躍社会担当大臣(当時)に質問をした。

 加藤大臣は「一億総活躍社会とは誰もが個性を尊重され将来の夢や希望に向けてもう一歩前に歩み出すことができる、そして多様性が認められる社会をつくるということでありますから、その社会を実現していく理念においてもLGBTといわれる性的少数者に対する偏見あるいは不合理な差別、こういったことはあってはならないのであります」と答弁している。多様性を認め、寛容な社会をつくることが安倍政権、そして自民党である。

 特命委員会では設立当初から、LGBT当事者で一般社団法人LGBT理解増進会代表理事の繁内幸治氏にアドバイザーとして就任いただき、精力的に議論を続け、その後政府に対しLGBT理解増進のための33の施策を提言した。

 しかし、その際、理解増進法を議員立法として自民党から提出することは断念した。あまりにも自民党内の理解が進んでいなかったからだ。その現実に愕然(がくぜん)とした私は、まずは党内の理解増進が先決だと痛感した。

 だが、提言をしたその年の夏の参議院選挙の公約には、LGBTについて「正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定」とともに「社会全体が多様性を受け入れていく環境を目指す」と盛り込むことができた。

 人は、人として存在すること自体を尊重されなければならない。老いも若きも、障害がある人もない人も、そして性別がどうあろうとも、人が人として自分らしく、頑張って生きようとしている人々を応援する自民党でありたい。

 自民党が下野した際に、自民党の綱領を新しくしたが、新綱領の中で「われわれが守り続けてきた自由(リベラリズム)とは、市場原理主義でもなく、無原則な政府介入是認主義でもない。自立した個人の義務と創意工夫、自由な選択、他への尊重と寛容、共助の精神からなる自由であることを再確認したい」と書き込んだ。まさに「他への尊重と寛容」の社会をつくることが保守の役割なのだ。

 さらに、自民党が目指している理解増進法は、LGBT理解増進のために財政措置を講ずることができるとしているが、LGBTの方々やLGBTカップルを優遇したり特権を与えたりするものではない。

 なぜ、私たちが「差別禁止」ではなく、「理解増進」を目指すのか。いきなり「差別」を禁止して「罰則」を設けたのでは、なぜLGBTが人権問題なのかが理解されず、政策に説得力、ひいては実効性がなくなるからだ。まずはLGBTの基礎的な理解を広めることが重要だ。
2018年5月、葉梨康弘法務副大臣(右)にLGBTへの差別禁止の法整備を要請したアムネスティ・インターナショナルの担当者ら
2018年5月、葉梨康弘法務副大臣(右)にLGBTへの差別禁止の法整備を要請したアムネスティ・インターナショナルの担当者ら
 自民党では自由な議論が許され、党内の多様な意見が尊重される。憲法、人権擁護法案、女系天皇反対など、激しい議論の末に党の方針が決められる場面をいくつも見てきた。

 これからきたる臨時国会で、LGBT理解増進法の議員立法化に向けて関心を寄せてくれる議員が増え、議論が活発化することを期待している。