2018年08月14日 12:30 公開

米連邦捜査局(FBI)で2016米大統領選に関するロシア疑惑などの捜査に携わっていたピーター・ストローク捜査官が解雇された。ストローク氏の弁護士アイタン・ゴールマン氏は声明で、FBIのデイビッド・ボウディッチ副長官が10日、ストローク氏を解雇したと明らかにした。

ストローク氏は大統領選中にドナルド・トランプ米大統領に批判的な内容のメッセージを同僚とやり取りしていたことから、トランプ氏に偏見があり、大統領選での勝利を妨害しようとしていたと与党・共和党から非難されている。

ロシア疑惑に加え、ヒラリー・クリントン元国務長官の私用メール問題の捜査にも関わっていた。

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ゴールマン弁護士は今回の解任について、ストローク氏への処分は降格と停職60日間に留めるというFBI人事責任者の決定を頭ごなしに無効にするものだと指摘した。

「ストローク特別捜査官の解雇決定はFBIの典型的な慣行から逸脱するだけでなく、FBIは本件を含めてあらゆる職員関連事案に通常手続きで対応するというクリストファー・レイ長官の上院証言と食い違っている」

「全ての米国人は、この決定を深く憂慮すべきだ。時間をかけて捜査しても、上院で何度証言しても、ストローク特別捜査官の私見が職務に影響したという証拠は何一つ見つけられなかったのだから」

FBI報道官はBBCに対し、ストローク氏について直ちにコメントできないと回答した。

トランプ大統領は13日にツイッターで「ピーター・ストローク捜査官がFBIからクビになった――やっと。FBIと司法省の悪いやつらリストは長くなるばかりだ。ストロークが魔女狩りの責任者だったことを踏まえると、これで終わるか? あれは完全なでたらめだ。結託はなかった。妨害もなかった。僕はやり返しただけだ!」と書いた。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1029036065158557701


トランプ氏は、ロバート・ムラー特別検察官率いるロシア疑惑捜査を、繰り返し魔女狩りと呼んでいる。

別のツイートでは、「たった今クビになった元FBIのストローク捜査官は、悪者ヒラリー・クリントンの偽捜査の責任者だった。これは米国民に対する完全ないかさまで、ちゃんとやり直すべきだ!」と、クリントン氏の私用メール問題をめぐる捜査を批判した。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1029037282676957185


クリントン氏は国務長官時代に政府の重要書類を私用メールサーバーでやり取りしていたことが発覚し、2016年の選挙期間中にFBIの捜査を受けていた。

ストローク氏のメッセージとは?

ストローク氏は同僚のリサ・ペイジ弁護士と不倫関係にあり、ペイジ氏とやりとりするテキストメールでトランプ氏を批判していた。

あるやりとりではペイジ氏が、トランプ氏は「絶対に大統領にならないはず。でしょ? でしょ!?」と尋ね、これにストローク氏は「ならない。ならないよ。僕たちが止める」と答えた。

トランプ氏は11日にも、「FBIはかつての輝かしい名声をいつか回復できるのか? コーミーやマケイブ、ピーター・S(編注:ストローク氏)と愛人、素敵なリサ・ペイジ、もう退任・解雇された高官たちのせいで、FBIの評判はボロボロだ。こいつらピエロや負け犬のせいで、FBIに大勢いる素晴らしい人たちが傷つけられてきた!」などとツイートし、ストローク氏とペイジ氏を「FBIの愛人カップル」と攻撃した。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1028269328246947840


ストローク氏の主張は?

7月に行われた上院公聴会の白熱したやりとりで、FBI歴21年のストローク捜査員は「職務遂行において偏向があったという証拠はない」と断言した。

ストローク氏は繰り返し共和党議員から攻撃され、問題となったテキストメールについて「非常に後悔している」と述べた。

FBIの規則では、捜査官は「個人として」政治的見解を述べることは認められている。問題のメッセージが職務用の携帯電話から送信されたかどうかは明らかではない。

共和党からの批判が高まる一方、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は昨年、ロシア疑惑の捜査チームは「正しく」運営されていると明言した。

副長官はさらに、「キャリア公務員の政治的指向を不適切に検討などしない」と述べ、FBIは採用時に個人の政治思想調査を禁止していると説明した。

トランプ大統領が就任して以降、ロシア疑惑とクリントン氏の電子メール問題の捜査に携わったFBI高官が解雇されるのは、ストローク氏で3人目となる。

ジェイムズ・コーミー前長官は2017年5月、電撃解任された。トランプ氏は後に、ロシア疑惑捜査を考慮した上でこの決定を下したと話している。

今年1月には、ジェフ・セッションズ司法長官の意向を受けてアンドリュー・マケイブ元副長官が辞任した。クリントン氏の捜査について報道機関に情報を漏らしたと監察総監が判断したことが、マケイブ氏の辞任につながった。

(英語記事 FBI agent Peter Strzok 'fired for texts'