収入はチケット売り上げだけで約4億4千万円。支出は約3億8千万円で、その内訳は大会準備費、出場選手費、大会役員関係費、大会費、大会史作成費、地方大会費、本部運営費となっている。これらを差し引いた剰余金として約6400万円を計上している。

 本来であれば、出場する高校の負担軽減のために「出場選手費」が充てられるはずである。だが、第98回大会の開催要項によると、大会本部がベンチ入り選手や監督、部長の交通費や宿泊費の一部として支給されるのは1日1人わずか4千円。3億8千万円の支出のうち実際に約9300万円がこれに充てられているが、焼け石に水だろう。

 なぜなら、甲子園では1試合ごとに約1200万円かかるといわれ、代表校は出場決定と同時に寄付金集めを始めなければならないからだ。

 そもそも大会開催期間中の関西圏内のホテル料金は高騰する。それに、選手の家族関係者も試合のたびにマイクロバスをチャーターし、甲子園までの往復と祝勝会を敗戦まで続けるという。その費用たるや相当な金額で、勝てば勝つほどコストがかかる。

 こんな現状は、「スポーツ先進国」米国と比較しても異例である。甲子園大会について、米国人に説明すると「高校生が全国選手権大会? 連日全国ネットで生中継するの?」と仰天する。米国では国技であるアメフトやバスケットボールでさえ、高校生の大会は州レベルの選手権にとどまるからだ。

 米国で、甲子園大会に似たものとしては、おそらく「マーチ・マッドネス(3月の狂乱)」と呼ばれる全米大学バスケット選手権(NCAAトーナメント)だろう。3月の春休みに行われるNCAA1部に所属する全米各カンファレンス上位校68校が出場するトーナメント戦である。試合会場はもちろんのこと、テレビを通じて全米が熱狂する。

 だが、開催地は甲子園球場のような固定ではなく、毎年持ち回りだ。大会のシステムは、トーナメント1回戦と2回戦は「ラウンド1」として米国内8カ所で開催され、8大学がホスト校として自校アリーナを提供する。

 各地区の準決勝と決勝は、ロサンゼルス、アトランタ、ボストン、オマハの4都市で開催される。それぞれ勝ち抜いた4チームは「ファイナル・フォー」と呼ばれる準決勝と決勝のために1都市に集まり、アメフト専用の巨大ドームスタジアムで試合を行うのである。
バスケットボールの全米大学選手権出場を優勝で決め、チームメートと喜ぶゴンザガ大の八村塁(中央)=2017年3月、ラスベガス(共同)
バスケットボールの全米大学選手権出場を優勝で決め、チームメートと喜ぶゴンザガ大の八村塁(中央)=2017年3月、ラスベガス(共同)
 2018年はテキサス州サンアントニオのアラモドームで行われ、約7万人の観客が埋め尽くした。ファイナル・フォーの開催地は毎年全米を回り、開催都市にも大きな経済効果を及ぼしている。しかし、選手たちは「聖地」甲子園のように、開催都市や巨大ドームでのプレーを夢見ているわけではない。

 現在、その放映権は米四大ネットワークのCBSとターナーが14年間108億ドル(約1兆2000億円)で獲得しており、NCAAの収益の約80%がマーチ・マッドネスの放映権収入である。