サマータイム推進派は、サマータイムの導入が、東京五輪・パラリンピックの一部競技の成功を目的とする以外に、エネルギー節約・温室効果ガス削減、消費喚起、労働時間の短縮といった日本が抱える構造的な課題に対して、これまで論じてきた様々なデメリットを考慮したとしてもなお抜本的な解決策になり得るのだという客観的かつ説得力のある根拠を示せないのなら、東京五輪・パラリンピックを口実としたなし崩し的なサマータイム導入への国民的な合意を得るのは非常に困難であると自覚すべきだ。

 以上のように、自民党での検討が予定されているサマータイムの導入がわれわれの生活に与えるメリット・デメリットについて、5つの論点を取り上げ検討したところ、メリットに比してデメリットの方が大きく、特に、システム修正にかかる企業負担や、システム修正に失敗した場合に起こり得る経済・社会の混乱が深刻なリスクを孕んでいるとの結論に達した。

 サマータイム導入の目的が、オリンピックを成功させるためというだけの矮小化されたものではなく、日本人の働き方やライフスタイルを時計から解放するのが目的であるならば、夏に限らず一年中太陽のサイクルに合致するよう労働時間を柔軟に変更・調整できるような仕組みを各企業なり組織が採用しやすくなる法的枠組みを整備すればよいだけではないだろうか。
プレミアムフライデーで百貨店を訪れた経団連の中西宏明会長(左から2人目)=2018年7月27日日、東京都中央区(大塚昌吾撮影)
プレミアムフライデーで百貨店を訪れた経団連の中西宏明会長(左から2人目)=2018年7月27日日、東京都中央区(大塚昌吾撮影)
 サマータイムの導入が労働効率を上げ残業時間を減らすとの期待は、2016年に政府が勤務時間を1時間程度前倒しして朝早くから働き夕方からは家族や友人との時間を大事にする「夏の生活スタイル変革」を目論んだものの残業時間が増えただけに終わった「ゆう活」の失敗、さらには消費喚起に関しては、政府や企業団体の大号令にもかかわらず所定の効果を上げておらず迷走を続けるプレミアムフライデーの失敗から教訓を得、学習した形跡が政治家や政府、経営トップ層に全く見られず、国民の事情を考慮することなく自分たちの都合だけを一方的に押し付ける日本のエリート層の姿勢が個人的にはとても気になっている。