舛添要一(前東京都知事)

 2020年東京五輪組織委員会の森喜朗会長が、暑さ対策として時間を2時間早めるサマータイムの導入を提案し、安倍晋三首相に直談判したことから、大きな話題になっている。賛否両論が沸騰しているが、今のところ反対論の方が多いようである。

 それにしても、今年の夏の暑さは異常である。日本だけではなく、地球全体がそうであり、世界各地で山火事や熱中症による被害が多発している。

 2年後の東京五輪でも同じような猛暑となれば、マラソンや競歩など、屋外競技は選手にとっても観客にとっても過酷なものとなる。インターハイ出場の陸上競技選手経験者としては、参加したくない大会である。

 今年のような猛暑でなくても、日本の夏は高温多湿でスポーツに適していない。私は若いころ、欧州諸国に留学したが、地中海性気候で夏は高温でも乾燥しており、木陰に入ると涼しく、エアコンなどは必要なかった。日本で言えば北海道のような気候である。もっとも、北海道も欧州も、最近の猛暑にエアコン需要が高まっているらしい。

 身体が欧州の気候に順応して帰国したので、日本の夏の高湿度は耐えがたかった。40年前の話である。

 その後の地球温暖化を考えると、事態はもっとひどくなっており、夏休みに観光で日本を訪れる欧州の人々は驚いているのではないか。フランス人観光客は「日本は熱帯か」と嘆いていたが、私の個人的体験から言うと、いまアジア大会が行われている熱帯のジャカルタの方が過ごしやすい。

 実は、2014年10月に、森会長は講演で「一番暑いときにマラソンをしたら倒れる人がいっぱいいるんじゃないか」と懸念を示し、安倍首相に会った際に「思い切って2時間くらいのサマータイムをやったらどうか」と伝えたという。これに対し、安倍首相は「なるほど、考えておく。しかし役所は反対するんだよな」と答えたと報じられている。

 このサマータイム提案に対しては、反対意見が続出したという。当時、私は都知事であったが、この森発言報道の記憶はないし、森会長とサマータイムについて議論したこともない。
2018年8月、首相官邸を訪れた東京五輪・パラリンピック組織委の森喜朗会長(中央左)らと談笑する安倍首相(同右)
2018年8月、首相官邸を訪れた東京五輪・パラリンピック組織委の森喜朗会長(中央左)らと談笑する安倍首相(同右)
 ただ、マラソンが厳しい気象条件下で行われることについては危惧しており、朝5時よりも前にスタートすべきだと周囲にはいつも話していた。しかし、2016年6月に都知事を辞任したので、その後この件について、後任の小池百合子知事がどのような采配をしたかはつまびらかでない。

 とまれ、夜明けとともにマラソンがスタートということについては、森サマータイム案も私の案も同じことになるが、実は大きく異なる点がある。