2018年08月24日 12:21 公開

ジェフ・セッションズ米司法長官は23日、司法省幹部は政治圧力に屈したりしないと強調し、ドナルド・トランプ米大統領の非難に反論した。セッションズ長官は司法省を統括できていないというトランプ氏の批判に対するものと思われる。

2016年米大統領選をめぐるロシア疑惑とトランプ陣営の結託に関する司法省捜査の進展に強い不満を抱くトランプ氏は同日、保守系フォックス・ニュースの単独インタビューで、セッションズ氏が捜査指揮から身を引いたことをあらためて批判した。これに対してセッションズ長官は、「自分が司法長官でいる間、司法省の行動は政治的配慮によって不適切に影響されたりしない」と声明を発表した。

不法移民取り締まり強化など保守派としての政治姿勢からトランプ氏と同調し、大統領選の早い段階からトランプ氏を支持していたセッションズ氏は、選挙中にロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使(当時)と会っていたことが判明し、昨年3月の時点でロシア疑惑捜査から身を引いた。ロシア疑惑捜査を「魔女狩り」と呼び続けるトランプ氏は、セッションズ長官のこの判断を非難し続けてきた。

セッションズ氏の代わりにロッド・ローゼンスタイン副司法長官がロシア疑惑捜査の責任者となり、昨年5月にロバート・ムラー特別検察官を任命。ムラー検察官の捜査によって、トランプ氏の元顧問弁護士が、トランプ氏と不倫関係にあったというポルノ・モデルやポルノ女優に口止め料を払い選挙資金法に違反したことを認めるほか、ロシア疑惑捜査に協力する姿勢を見せている。さらにムラー検察官の捜査で起訴されたトランプ氏の元選対本部長が、ロシア疑惑とは別件の脱税罪などで有罪評決を受けている。

ムラー検察官は、トランプ氏による司法妨害があったかも捜査しているとみられる。トランプ氏は5月、ロシア疑惑を捜査していた連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官(当時)を電撃解任している。ローゼンスタイン副司法長官はこの後、ムラー氏を任命した。

こうした状況でトランプ氏はツイッターや支持者集会などで、一連の捜査を罵倒する発言を繰り返し、ロシア当局と陣営の結託を否定し、司法妨害などしていないと強調している。

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トランプ氏はセッションズ氏について何と

フォックス・ニュースの朝の情報番組「フォックス・アンド・フレンズ」に出演したトランプ氏は、「自分が選んだ司法長官は、一度も司法省を統括してこなかった。ジェフ・セッションズは一度も司法省を統括しなかった。それは何と言うかすごいことだ」と述べた。

ロシア疑惑捜査については、「ジェフ・セッションズは身を引いたが、そうすべきでなかった。あるいは(自分が指名する前に)そうするつもりだと僕に言うべきだった」と、セッションズ氏への不満を繰り返した。

「僕の政敵でさえ、ジェフ・セッションズはあらかじめ僕に身を引くつもりだと言うべきだったと言う。それを言われていれば、長官にしなかったのにと。なのに仕事に応じてから、身を引くと言ったんだ。僕は『いったい、どういう男なんだ』となった」

「彼を選んだ理由はひとつだけだ。忠実だと思ったから。最初のころからの支持者で、選挙戦に参加していた。結託などなかったのは知っているはずだ」

セッションズ長官の声明

番組放送後、セッションズ長官は声明を発表し、「私は宣誓し着任したその日から、司法省を統括してきた」とトランプ大統領に反論した。

「自分が司法長官でいる間、司法省の行動は政治的配慮によって不適切に影響されたりしない」

「私は最高水準の行動を断固として要求し、それに見合わない場合は、対応する」

「これほど有能で熱心な捜査員と検察官の集団を抱える国は、米国をおいてほかにない」

「私は彼らと共に国に尽くすことを誇りに思う。法の支配を推進するために果たしてきた仕事を、誇りに思っている」

セッションズ長官はこれまで、司法省の捜査についてこれほどはっきりと支持を明言してこなかった。一方でトランプ氏は、セッションズ氏がロシア疑惑捜査から身を引いたことを繰り返し非難してきた。

与党・共和党の間では、反応が割れている。今年11月の中間選挙後にトランプ氏がセッションズ氏を更迭すれば、それを支持するという幹部もいれば、司法長官を支持すると表明する上院議員たちもいる。

「弾劾」の可能性?

これに先立つ22日には、トランプ陣営のポール・マナフォート元選対本部長がロシア疑惑とは別件で脱税や銀行詐欺などの罪で有罪評決を受けた。同じ日には、トランプ氏の元顧問弁護士、マイケル・コーエン被告が法廷で宣誓証言し、トランプ氏の不倫相手に口止め料を払い、公職選挙法に違反したのは、トランプ氏の支持によるものだったと言明した。

トランプ氏は、法律に違反していないと主張している。

コーエン被告はさらに、ロシア疑惑捜査に協力する姿勢を示していると、弁護士を通じて明らかにした。

23日の米報道によると、口止め料を受け取ったモデル、キャレン・マクドゥーガル氏は自分の体験談の出版権を米誌ナショナル・エンクワイアラーに売り渡したが、同誌はこれを報道しなかった。コーエン被告の裁判で検察側は、エンクワイアラー誌の版元会長でトランプ氏の友人でもあるデイビッド・ペッカー氏に対し、刑事免責を認めたと報道されている。

「弾劾」の可能性についてトランプ氏自身がフォックス・ニュースで言及するなど、米政界では緊張感が高まっているが、司法省が現職大統領を訴追する可能性は低いとみられている。また、中間選挙で上下両院における挽回を目指す民主党も、選挙前に弾劾手続きを本格化させることはないだろうと言われる。

トランプ氏はインタビューで

23日放送のインタビューでトランプ氏はさらに、次の発言をした。

  • もし自分が弾劾されれば株価は暴落すると主張
  • 自分と不倫したと主張する女性2人への支払いは選挙法違反ではないと強調
  • 捜査協力と引き換えに検察が刑期短縮を約束する司法取引のプロセスは「不公平」で、「違法にすべきだ」と批判
  • コーエン被告は実刑20年の量刑になるところを、「ドナルド・トランプについて悪いことを言って(中略)2~3年に短縮してもらう、そういう取引をしたんだ」と主張
  • 大統領としてのこれまでの自分の成績は「A+」だと評価

(英語記事 Jeff Sessions: US attorney general hits back at Trump