2018年08月24日 16:35 公開

ドナルド・トランプ米大統領は23日放送のテレビインタビューで、もし自分が弾劾されれば、株価は暴落すると警告した。選挙資金規制法違反で起訴された元顧問弁護士が22日、法廷で罪状を認め、トランプ氏の指示によるものだったと証言したため、トランプ氏による違法行為があった可能性が話題となっている。

保守系フォックス・ニュースの朝の情報番組「フォックス・アンド・フレンズ」で放送された単独インタビューで、トランプ氏は自分が弾劾されれば、市場は暴落し、「みんなすごく貧乏になる」と発言した。トランプ氏が弾劾の可能性について公言するのは異例。

米政界では、11月の中間選挙より前に与野党共に、議会が弾劾手続きに着手する可能性は少ないと見られている。

トランプ氏は番組で、「すごくよくやっている人間を、どうやったら弾劾できるのか、自分には分からない」と述べた。「そうだな、もし僕が弾劾されるようなことがあったら、おそらく市場は暴落して、みんなすごく貧乏になると思う」と言いながら自分の頭を指差し、「この頭脳がなかったら、信じられないような数字が逆転するから」と続けた。

https://twitter.com/foxandfriends/status/1032603360057151488

違法な支払いではないとトランプ氏

長年にわたりトランプ氏の顧問弁護士だったマイケル・コーエン被告は22日、2016年米大統領選の最中に、女性2人に口止め料を払ったと法廷で認めた。女性2人とは、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏(本名ステファニー・クリフォード)と、米誌プレイボーイの元モデル、キャレン・マクドゥーガル氏のことだと見られている。女性2人はいずれも、トランプ氏と不倫関係にあったと主張している。

しかし、トランプ氏は女性2人への支払いは、選挙資金ではなく自分の個人資金だったため、選挙法違反にあたらないと述べた。ただし、支払いの事実は「後になって」初めて知ったとも話した。

一方でコーエン被告は今年7月、トランプ氏との会話音声を公表。大統領選を2カ月後に控えた2016年9月の会話で、女性への支払いについて相談している内容とされている。

トランプ氏はフォックス・ニュースの番組でさらに、コーエン被告が検察と司法取引をして減刑してもらうために、架空の話をでっち上げたと非難。加えて、「それに、犯罪でもない2件について宣誓して認めたけど、誰にも理解できない」と述べた。

「実際、自分はいくつか(テレビ)番組を見たが、テレビを見ていると色々かなりいい情報が手に入るから。(被告が有罪を認めた)2件は犯罪でさえないんだ。選挙資金じゃなかったんだから」

口止め料を受け取った元モデルのマクドゥーガル氏は大統領選前、自分の体験談の出版権を米誌ナショナル・エンクワイアラーに売り渡したが、同誌はこれを報道しなかった。23日の米報道によると、コーエン被告の裁判で検察側は、エンクワイアラー誌の版元会長でトランプ氏の友人でもあるデイビッド・ペッカー氏に対し、刑事免責を与えたという。

マクドゥーガル氏は、エンクワイアラー誌から15万ドルを受け取る代わりに、トランプ氏との関係について世間に発言することを禁止されたという。同誌が自分の体験談を出版しなかったため、自分はだまされたのだとマクドゥーガル氏は主張している。

選挙違反なのか

トランプ陣営は口止め料の支払いを、米連邦選挙委員会(FEC)に報告しなかった。

支払いの目的が、トランプ氏個人の名誉を守るためだったか、それとも大統領候補としてのイメージを守るためだったかによって、選挙違反かどうかが変わってくる。

米国の公職選挙法では、有権者の投票に影響を与えることを意図した支払いは、いかなるものでも、FECに報告しなくてはならない。

もしこの支払いをめぐりトランプ氏が訴追されるならば、捜査する側はトランプ氏がコーエン被告に口止め料の支払いを託したのは、大統領選に勝つためだったと立証する必要がある。現職大統領を刑事裁判で訴追する可能性は極めて低く、もし訴追されるならば、連邦議会の弾劾手続きによるものになる。

現在の下院(定数435)は、共和党236議席、民主党193議席、空席6議席。11月の中間選挙では全議席が改選される。

現在の上院(定数100)は、共和党51議席、民主党47議席、無所属(民主党系)2議席。中間選挙では35議席が改選対象。


弾劾手続きとは

合衆国憲法第2条第4節は、「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と規定している。

弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院がそれぞれ持つ。

<下院>

大統領が「国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪」を犯したと疑われる場合、下院議員は誰でも弾劾を発議できる。

下院司法委員会が調査した後、下院全体で協議。

下院の単純過半数(51%)が支持すれば、上院に送付する。

<上院>

弾劾裁判の開始。最高裁長官が判事となり、下院議員が検察、上院議員が陪審団となる。大統領は弁護人を指名できる。

上院3分の2以上(67%)の同意があれば、大統領は罷免される。残る任期は、副大統領が大統領になる。


トランプ氏の発言に矛盾?

トランプ氏はポルノ女優、ダニエルズ氏との関係について今年4月に初めて公に発言した際、コーエン弁護士を通じてダニエルズ氏に13万ドルを支払っていたのは知らなかったと記者の質問に答えていた。

ダニエルズ氏は、2006年7月にトランプ氏と一度だけ性的関係をもったと主張している。トランプ氏はメラニア夫人と2005年に結婚した。

大統領専用機で記者に、ダニエルズ氏に払った資金をコーエン弁護士がどこから調達したか知っているかと質問されたトランプ氏は、「知らない」と答えていた。

しかし翌月になるとトランプ氏は、2016年に使った経費についてコーエン弁護士に10万1ドルから25万ドルを返済していたことを、公式に公表した。

(英語記事 Trump: Impeach me and the market crashes