2018年08月28日 11:44 公開

ドイツ南西部ザクセン州ケムニッツで、移民反対を訴える極右活動家のデモが続いている。2日目に入った27日にはこれに対抗した反ナチス活動家のデモ隊と衝突し、数人が負傷した。

一連のデモは、26日にケムニッツで開催されていたストリート・フェスティバルで起きた死傷事件を受けたもの。刃物によるこの事件ではドイツ人男性1人が死亡、2人がけがをしており、シリア国籍とイラク国籍の男2人が逮捕された。

アンゲラ・メルケル独首相は、「自警団による正義」は看過できないと警告している。

衝突では、デモ隊が互いに石などを投げ合ったことでけが人が出た。衝突の様子を撮影した映像では、石を手にする覆面姿の参加者を警官が注意している様子が映されていた。

当局はこれに先立ち、26日の騒ぎでアフガニスタン人とシリア人、ブルガリア人が暴行されたという事件を、捜査していると発表した。

デモ参加者が外国人を追いかけているとの報道もあるが、詳細は明らかになっていない。警察は暴行の目撃者に対し、録画映像があれば提供するよう呼びかけている。

26日の事件

死傷事件は26日午前3時15分(日本時間午前9時15分)ごろに起きたが、原因は不明。事件を受け、ストリート・フェスティバルは中止された。

犠牲となったのは35歳の大工の男性で、現場で致命傷を負った後、病院で亡くなった。

警察によると、この男性と一緒にいた33歳と38歳のドイツ人男性も重傷だという。

逮捕されたシリア人の男は23歳、イラク人は22歳。

警察は、事件の発端となったのが女性への性的嫌がらせだったというソーシャルメディアでの噂を否定している。

デモの広がり

AFP通信は、26日に行われた極右デモには100人ほどが集まり、衝突も起きなかったと報じている。

しかし27日には800人ほどが、ケムニッツの中心地にあるカール・マルクスの銅像の前に集結した。この銅像は東ドイツ時代、ケムニッツがカール・マルクス・シュタットと呼ばれ、社会主義のモデル都市だった頃の名残だという。

拡大・過熱したデモは、警察にとっても予想外のようだった。

ジャーナリストのヨハネス・グルナート氏は現地メディア・シュピーゲル・オンラインに対し、デモ参加者が「ドイツ人に見えない」人々をびんで攻撃する様子を目撃したと話している。

ドイツの極右運動「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国主義者(PEGIDA)」は、27日午後にも追加デモの実施を呼びかけた。

また極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のマルクス・フローンマイアー議員はツイッターに、「もし政府が市民を守らないなら、皆が街に繰り出して自警する。それくらい簡単なことだ!」と投稿した。

同議員は近年の移民流入を示唆し、「今日、致命的な『移民の刃』を止めることが市民の義務だ!あなたの父や息子、兄弟を狙っている!」と述べた。

事件現場には犠牲者を追悼する花輪やろうそくが集まる中、極右支持のデモ参加者はマルクスの銅像の前に集い、対抗するデモ隊もその近くに陣取った。

警察によると、極右のデモ隊はナチス式敬礼を交わしていたほか、「難民流入を止めろ!」などのプラカードを掲げていた。

「不法な集会」

メルケル首相はシュテフェン・ザイベルト報道官を通じ、「我々はこのような不法な集会や、見た目や生い立ちが違う人々を追い回し、街に憎悪を撒き散らそうとする行いを許さない」と発表した。

「我々の街にそうした行為を許す場所はなく、ドイツ政府として、最も強い言葉で批判する。ケムニッツやその他の地域に伝える。ドイツには自警団による正義や街に憎悪を撒き散らすグループ、不寛容と過激主義を許す場所はない」

ドイツ左翼党のマルティナ・レナー議員も、極右が殺人事件を政治化していると批判し、ツイッターで「ケムニッツの人種差別の暴徒は、まだ詳細の不明な悲惨な殺人事件を最も不快な方法で手段化した」と語った。

メルケル首相は2015年、シリアやイラクからの書類のない移民や難民130万人を受け入れることを決定した。

しかし、与党は昨年の総選挙で大きく議席を失った一方、AfDは12.6%の得票率で90議席以上を獲得し、初めて議会に食い込んだ。

ケムニッツのあるザクセン州は特に、AfDやPEGIDAの勢いが強い。

(英語記事 Protesters face off in tense German city