2018年08月28日 12:37 公開

日本の自動車大手トヨタ自動車は27日、米配車サービス大手のウーバーに5億ドル(約550億円)を投資すると発表した。また、自動運転車の共同開発で提携を拡大する。

トヨタは、この提携がウーバーのサービス網で利用される自動運転車の「大量生産」に寄与するだろうとしている。

この提携は、競争が激化している自動運転車市場で、両社が競合他社に追いつくための施策とみられている。

ウーバーの損失は拡大しているものの、この契約では同社の企業価値が約720億ドル(約7兆9200億円)と算定された。この評価額は5月の前回投資からは15%上昇しているが、2月に行われた企業評価と一致している。

プレスリリースによると、両社はそれぞれの自動運転技術を統合し、配車サービス向けの車両を開発する。2012年にミニバン「シエナ」の自動運転モデルを試験導入する予定だ。

トヨタの友山茂樹副社長は、「世界最大のライドシェア企業の一つであるウーバーとの提携は、トヨタがモビリティーカンパニーへと変革する上で、重要なマイルストーンになる。両社の技術とプラットフォームを連携させたライドシェアサービスは、安全で安心な自動運転モビリティーサービスの実現へ向けた一つの道筋になると考えている」と話した。

トヨタとウーバーは両社とも、自動運転車の開発で競合に遅れを取っているとみなされている。この領域では、米アルファベット傘下のウェイモなどが勢いを増している。

また、米アリゾナ州テンペで3月に起きたウーバー車両による歩行者死亡事故を受け、ウーバーは自動運転車の走行実験を縮小させている。

この事故以降、同社は自動運転車の路上実験を取りやめ、アリゾナ州での試験計画も中止した。

今回の契約によって、ウーバーはトヨタとすでに結んでいる提携を拡大するとともに、自動運転技術をめぐる開発戦略を推し進める方針。

なお、ウーバーは独自動車大手ダイムラーとも提携している。ダイムラーも、自動運転車を開発し、ウーバーのサービス網での運用を望んでいるという。

ウーバーは27日、利益減少の可能性があるとしても将来的には自動車事業への注力を弱め、電動キックボードと自転車事業に重点を置く計画を明らかにしたばかり。

ウーバーのタクシー事業は収益を拡大させているが、自転車シェアリングや食料品配達といった新分野への事業拡大にかかる費用で、損失も急増した。


<解説>デイブ・リー BBC北米テクノロジー担当記者(サンフランシスコ)

ウーバーによる自動運転車への取り組みはトラブル続きで、外部からの支援を必要としている。今回の提携拡大で、トヨタは専門技術を提供するのだろう。もちろん今回の提携は、トヨタにとっても素晴らしい機会だ。

今月の前半には、ウーバーが1日に100万ドルから200万ドルほどを自動運転技術に費やしているとの報道があった。取り組みの結果は今のところ、誇るべきものになっていない。衝突死亡事故が1度、とても高額な訴訟が1度。そしてこの領域を先導するウェイモと比較すると、ウーバーの自動運転技術は進歩していない。

来年予定されている新規株式公開(IPO)を控え、負荷と研究開発費用をトヨタと共有するという発表は、ウーバーに投資している人々を喜ばせるだろう。

一方、提携の報道を受け、トヨタの株価は急上昇した。驚きはない。自動運転車やライドシェアが人々の生活に広く普及する未来が来れば、自動車の個人所有は劇的に減少し、代わりに大企業が自動車を大量に購入するようになると、多くの専門家が考えている。だとすれば、トヨタは単に、史上最大の顧客を手に入れただけなのかもしれない。


(英語記事 Toyota to invest $500m in Uber in driverless car deal