2018年08月28日 14:33 公開

米国とメキシコが北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に向けて大筋で合意した。かねてこの協定を批判してきたドナルド・トランプ米大統領が27日、発表した。

ただしカナダは28日から交渉入りするため、最終的な結果については不透明だ。

1994年に結ばれたNAFTAをめぐっては、トランプ大統領が撤退をほのめかしかことから1年にわたる交渉が始まった。

トランプ氏はNAFTAが米製造業、特に自動車産業での雇用低下につながったと批判し、再交渉を求めていた。

今回の発表で米国の株価は上昇。メキシコの通貨ペソも値上がりした。

トランプ大統領はホワイトハウスからのテレビ演説で、米国とメキシコが「もっと公平な」「素晴らしい」取引を可能にする合意に達したと述べた。

3カ国の交渉担当者は1年をかけてNAFTAの改正に取り組んできたが、カナダは1カ月以上前から議論に参加していない。

トランプ氏は「カナダを仲間に入れるかどうか、あるいはカナダと別の協定を結ぶか、そのうち分かる」と述べた。

また、自動車に関税をかけるとカナダを脅したほか、NAFTAという名前は「悪い意味を持つ」として廃止するよう求めた。

合意内容は?

NAFTAのもと、年間1兆ドル(約111兆円)以上の貿易が行われている。

今回の大筋合意では、知的財産の管理やデジタル取引、投資紛争などに関する条項が盛り込まれた。

また無関税の条件となる国内での部材調達比率を、75%に引き上げることでも合意した。

さらに、自動車の40~45%は時給16ドル以上の労働者が製造するという項目が加えられた。これにより、メキシコの低賃金地域への工場流出を防ぐ。

米政府は、この措置は16年間続くとしている。このほか貿易協定を6年ごとに見直すことでも一致したものの、米国が当初提案していた、見直しが自動的に協定破棄につながる案は却下された。

カナダの立場は? 合意に参加

米・メキシコの合意発表後、カナダのジャスティン・トルドー首相とトランプ大統領は電話で会談した。

首相府は、両者は「建設的な会話」を持ち、「お互いのチームが今週、成功といえる交渉結果に向けて協議することを楽しみしている」と発表している。

トルドー氏は26日に12月に退陣が決まっているメキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領と話しており、NAFTAが「3カ国にとって」成功となる結果に至れるよう努力することで一致した。

カナダのクリスティア・フリーランド外相はアダム・オースティン報道官を通じ、カナダは米国とメキシコが合意に至ったことに「勇気付けられた」と述べたものの、個別の内容については言及しなかった。

その上で、「我々はカナダにとって、そして中産階級にとって有益な新NAFTAにしか署名しない。カナダの署名は必須だ」と述べた。

カナダの乳業保護政策や、米国による鉄鋼・アルミニウムへの関税導入など、両国はこのところ貿易をめぐって数々の争いを起こしている。

一方でメキシコのニエト大統領は、トランプ氏がテレビ演説中に行った電話会談で、カナダを合意に含めることの重要性を強調した。

しかし同国のルイス・ビデガライ外相は、カナダ抜きでの協定に向けて準備していると話している。

迫る期限

3カ国は、12月のメキシコ大統領交代前に合意に至りたいと考えている。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール新大統領は、現職のニエト氏が進めるメキシコのエネルギー産業の開放に消極的で、交渉が複雑化する可能性がある。

そのため、トランプ政権は期限の90日前に当たる今月末までに上院に合意内容を提示する必要がある。

しかしオブラドール氏は、米・メキシコ間の合意は新たな協定への第一歩に過ぎないと話している。

同氏は27日、記者団に対して「我々はまだ残っている3カ国間の協定にとても興味がある。自由協定は、当初の思惑通りの形である必要がある」と述べた。

新たな自由貿易協定の発効には、3カ国でそれぞれ議会の承認を得る必要がある。

米国では与党・共和党や米商工会議所などがNAFTAに賛成しているものの、今回の交渉をめぐってはカナダを含めた合意達成を強く求めている。

(英語記事 Trump hails 'incredible' deal with Mexico