高荷智也(防災アドバイザー)

 「首都直下地震」が近い将来に発生すると想定されています。過去の歴史をみれば、首都圏を大地震が直撃することは確定事項です。防災の日にちなんで、今回は首都直下地震が「起きるかどうかではなくいつ起きるのか?」というレベルで、その対策を論じたいと思います。

 国内では1989年以降、1人以上の死者が生じた地震が24件発生しています。内訳を見ると、休日の発生が10件で平日は14件。平日のうち深夜の地震が6件、通勤時間帯が2件、日中が3件、夜間に3件が生じています。(※いずれも本震発生時間のみで、余震は除く)

 直近の例として2018年6月18日に発生した大阪北部の地震をみてみると、発生時間は朝7時58分。これ以外で平日の通勤時間帯に生じた地震は、2011年6月30日の8時16分に発生した「長野県中部地震(松本地震)」で、死者1人、負傷者17人の被害が生じています。

 しかし、この松本地震は大都市直下の地震ではなかったこと、地震の規模を示すマグニチュードが5・4、最大震度も5強と比較的小さかったことから、被害の大きさは限定的になっています。よって、大阪北部地震は、平成以降では初めてとなる「大都市の通勤時間を襲った大地震」という特徴を持つことになります。

 「大都市直下・通勤時間帯」という地震の発生状況を考えると、大阪北部地震も死者数万人を数える大震災となってもおかしくなかったと言えます。しかし過去の大地震と比較すれば、被害規模は小さなものにとどまったと言っていいでしょう。むろん、死者が生じておりますので「被害が少なくてよかった」というものではありません。

 被害が小さくとどまった理由は、「地震の規模が小さかった」からです。気象庁発表によるマグニチュードは6・1、これは前述の「平成以降で死者1人以上」を数えた24件の地震の中では、下から数えて2番目に小さい規模です。地震の影響はマグニチュードだけでなく、震源の深さ(浅いほど被害は拡大)や位置(都市直下ほど被害は拡大)が関連して定まる「震度」の方が重要ですが、その震度も「6弱」と大地震の中では小さな方に該当します。
大阪北部地震で鉄道の運転見合わせが続き、改札の外で足止めされた人々=2018年6月18日、大阪府高槻市のJR高槻駅(永田直也撮影)
大阪北部地震で鉄道の運転見合わせが続き、改札の外で足止めされた人々=2018年6月18日、大阪府高槻市のJR高槻駅(永田直也撮影)
 つまり、「大都市直下・通勤時間帯」にも関わらず被害が小さかったのは、もちろん日頃の防災対策の成果でもありますが、たまたま地震の規模が小さかったからであり、これは「ラッキー」にすぎないということでもあります。「電車で地震にあってもたいしたことはない」と考えるのではなく、たまたま地震が小さかったから助かった、もっと大きな地震だったら大変なことになっていたと考え、今後に生かさなければならないのです。