櫻井よしこ(ジャーナリスト)

 ニュース報道は誰が仕切るべきか。そんなテーマでiRONNAに原稿を依頼された。どこから始めようか。

 日本のニュース報道の主な現場は二つある。報道局の手になるニュース番組がニュース報道の唯一の主役だった時代は疾(と)うの昔に過ぎ去り、主たる伝え手は社会情報系が作るワイドショーになってしまった感がある。ニュースに割く時間の多寡を考えればまさにワイドショーがニュース報道の主役と言ってよい。

 ワイドショーはいつの頃か、ニュースを扱えば視聴率をとれることを学んだ。これでもかこれでもかと、朝から晩までニュースを取り込み、報道の現場に乱入し続けて今日に至る。その結果、報道番組にも変化が生じてきた。従来の固いイメージのニュース番組がさまざまな意味でやわらかくなり始めた。ワイドショーがニュース番組に近づき、ニュース番組がワイドショーに近づいたのである。こんな状況下でニュース報道は誰が仕切るべきかを語るのは、今や似た者同士となった二つを語ることである。

 そこでまず各局のニュース番組だ。局ごとに顕著な違いがある。日本テレビの場合、ニュース番組の主役はタレントである。他方、NHKをはじめその他の局のニュース番組の主役はアナウンサーである。

 もっとも、TBSの『NEWS23』のように朝日新聞の記者を中心に据えるケースもあるが、それでも日本のニュース番組は、➀タレント中心、➁アナウンサー中心に大別できる。➀は人気者の登用で視聴率を狙っているのであろう。➁は自局のアナウンサーなら、タレント並みの高額出演料が不要である。従ってコスト抑制が大きな要因だろう。

 どちらも欧米諸国ではおよそ見られない異端のニュース番組である。➀のタレントがニュース番組の担い手になる例は、少なくとも欧米先進諸国では、見当たらない。➁もない。そもそも読みに徹するアナウンサーという職種自体がない。日本のニュース番組は本当に異端の存在なのだ。

 久しぶりに早朝からテレビをつけた。ある局のワイドショーで、若い女性4人が横一列に並んで立って、各自が担当するニュースを紹介していた。4人は、女性というより可憐さが先に立つ少女のいでたちである。くるんとした目と爽やかな色彩の洋服が愛らしい。可愛いことはいいことだけれど、それでもどうしてこんなに可愛らしくなければいけないのだろう。そしてなぜ4人も必要なんだろう。

※この画像はイメージです(GettyImages)
※この画像はイメージです(GettyImages)
 いや待てよ、こんなに可憐な少女っぽい人たちに、1人だけでニュースを伝える力はあるのだろうか。集団で担ってようやく責任を果たせているのではないか。4人のそろい踏みにはもしかしてそんな理由があるのかしら。複数でにぎやかにする方が視聴率にも貢献するかもしれない。はたまた、何年かたって4人の中の1人でも2人でも成長してモノになるかもしれない。局側はそんなふうに考えているのかもしれない。いずれにしてもそんな人材の使い方をテレビ局がしているのは明らかだ。