2018年09月03日 12:22 公開

英国の研究チームがこのほど、ヤギは人間の幸せな表情に引きつけられるとの実験結果を発表した。

実験したのは、ロンドン大学クイーン・メアリー校のアラン・マケリゴット博士と同僚の研究者ら。研究結果は英国王立協会発行の科学誌「ロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンス」で発表された。

研究チームはヤギに、同じ人物の写真2枚を示した。2枚のうち1枚は怒りを示す表情、もう1枚は幸せそうな顔の写真だった。

実験では、ヤギは幸せそうな顔の写真へとまっすぐに歩み寄ったという。

研究によると、人間の表情を読み取る能力は、犬や馬などペットとして人間と暮らしてきた長い歴史を持つ動物に限られず、食料生産のために家畜化されてきたヤギなどの動物も有しているとみられる。

つまり、人間の気分を読み取れる動物の種類はこれまで考えられていたよりも幅広いと研究結果は示唆している。

大きく見開いた目

実験の舞台となったのは、英ケント州にある「バターカップ・サンクチュアリー・フォー・ゴーツ」。マケリゴット博士らは同地に壁を1つ立て、白黒写真2枚を約1.3メートル離して貼り付けた。そして、設置した壁を調べさせるように、ヤギを放したという。

研究者は、ヤギが笑顔を圧倒的に好むとの実験結果を得た。怒りの写真も確認した上で、幸せそうな表情の写真に近づいたという。鼻先で写真を調べる時間も、幸せそうな顔の写真の方が長かった。

しかしこの結果は、幸せそうな表情の写真が右側に置かれた際にだけ有意にみられた。幸せそうな写真を左側にすると、ヤギの選択はどちらの写真にも偏らなかったという。

上記の結果が示されたのは、ヤギが情報処理に脳の片側だけを使っているからだと研究者は考えている。同様の現象は他の動物にもみられる。

左脳が前向きな感情を示しているのか、あるいは右脳が怒りの表情を避けるのに寄与しているのかは、どちらも可能性があるという。

現在は英ローハンプトン大学に所属するマケリゴット博士は、「家畜やその他の種と我々はどう触れ合えばいいかについて、この研究は重要な意味を持っている。人間の感情を把握する動物の能力は広がっており、ペットだけに限られていないかもしれないと示しているからだ」と語った。

ブラジルのサンパウロ大学から研究に参加した論文の共著者ナタリア・アルバカーキ氏は、「感情理解の研究では既に、犬や馬が非常に複雑な能力を持つとの結果が示されている」「しかしこれまで、ヤギのような動物が人の表情を読み取れるとの証拠はなかった。我々の成果は、全ての家畜動物について感情変化を理解する新しい道筋を開いている」と述べた。

これらの家畜動物が持つ感情把握能力を強調することにより、研究は家畜に対する人々の認識を変化させる助けとなり、動物福祉にも影響を与える可能性がある。

(英語記事 Goats 'drawn to happy human faces'