さらに言及しておくと、海外では、日本で一般的なポストペイド(後払い)式よりも、プリペイド(前払い)式のサービスが広く利用され、料金を安く抑えやすくなっている国が多い。一方で、日本では、かつて詐欺行為に多く使われた影響から、プリペイド式携帯の規制が強化され、サービス提供がしづらくなっている。そうした実態を考慮せずに、ポストペイドの料金だけで高い、安いと比較するのはナンセンスなのである。

 そしてもう一つ、楽天の料金体系に関しても注目すべきだろう。そもそも、楽天の子会社「楽天モバイルネットワーク」が取得した周波数帯は一つだけで、これからインフラ整備を推し進める必要がある。楽天は全国に充実したインフラを持つNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアと、当面まともに競争できる状況にはない。

 そこで現在、仮想移動体通信事業者(MVNO)として展開している「楽天モバイル」の路線を踏襲し、戦略的に低価格で勝負に出ようとしているわけであり、既存のキャリアとは立場が大きく異なることを忘れてはならないのである。

 それでも、携帯電話料金が高いから安くしてほしい、という人は多いと思う。では仮に、キャリアが4割料金を引き下げなければならなくなったとして、引き下げがどのような事態を引き起こすかという点までは想像できているのだろうか。

 キャリアの収入のうち、大きな割合を占めているのは毎月の通信料なので、その通信料が4割下がれば、売り上げや利益も大きく落ち込む。その結果、キャリアは企業として生き残るため、収益性が低く、将来性が見込めないものには投資しなくなる。その代表例となるのが、少子高齢化で成長が見込めない国内、特に地方のネットワークインフラである。

マンション屋上に設置された携帯電話会社の基地局
 日本の大手キャリアはこれまで、潤沢な資金を費やして最先端のネットワーク機器を導入し、カバーエリアを競い合ってきた。この競争により、都市部だけでなく地方や山間部であっても満遍なく高速通信ができるという、世界で1、2位を争う充実したネットワークインフラをもたらしてきた。だが、キャリアが投資できる余地が少なくなれば、収益性が低い地方のインフラ投資が真っ先に削減されるため、都市部と地方で大きなネットワーク格差が生まれる可能性が出てきてしまう。

 そうした格差は、インターネットを通じた高度なサービスが地方で普及しにくくなり、新たなデバイド(格差)を直接生み出すことにもつながってくる。また地方のカバーがおろそかになることで、いざというときの災害対策にも大きな影響が出てくることになるだろう。

 とはいえ、携帯電話の料金をもっと安くしたいと思っている人が、必ずしも現状のキャリアの料金プランを使い続ける必要はないということも覚えておくべきだ。実は、毎月の通信料を安くする選択肢は、ここ最近の競争激化で大幅に増えているのである。