だが、20GBとなると様相は一変し、東京はデュッセルドルフ(9845円)に次ぐ2位で8642円であった。最低がロンドンの2947円である。ロンドンと比較すれば、東京の料金は93%も高い。しかし、デュッセルドルフとロンドンを比較すれば、その差は3・3倍である。どうして都市によってこれだけの格差が発生するのは定かではないが、特徴的なことは、東京の料金はデータ容量が大きくなるほど高くなっているということである。

 このことはMVNO型(回線網を持たない事業者)スマートフォンについてもいえるが、20GBではデュッセルドルフが1万4440円と圧倒的に高く、ニューヨークの6740円、東京の5726円が続く。

 この総務省の調査結果を総合的に見れば、2GBでは、平均が3179円で、東京の料金は約19%高い。20GBに関していえば、6都市の平均が4575円で、東京の料金は約89%高い。2GBでは、東京の料金と6都市平均の差はそれほど大きないが、20GBでは菅官房長官の指摘は間違っているとは言えない。

 要するに割高なのは、使用データが高容量の場合である。ならば、東京の料金構造が高容量、高料金になっているかを検討する必要がある。考えられるのは、高容量で高料金を徴収し、低用量で料金を引き下げ、初心者を勧誘する狙いがあるのかもしれない。高容量の料金を引き下げれば、低容量の料金が上昇する可能性もある。単純に引き下げを求めるのではなく、こうした料金体系の在り方にもメスを入れる必要があるだろう。

 次は、どうしたら料金引き下げを実現できるかである。電話産業は認可産業であるが、政府が直接価格設定に介入することはできない。政府の「介入は害多くして益なし」は、歴史が教えているところだ。

 ただ、料金が高止まっているのは、何らかの業界内での暗黙の「談合」が行われていると考えるのは自然であろう。直接談合しなくても、競争相手の企業を見ながら料金やサービス設定を行っているのは間違いない。

 そうした事態を是正するためには、菅官房長官と野田総務相が共通に語っているように、当たり前だが、競争を促進する必要がある。簡単に言えば、新規参入を促進することだ。楽天など新規の低料金の携帯電話会社の参入があるが、まだ価格破壊という状況を引き起こしているわけではない。
野田聖子総務相
野田聖子総務相
 とはいえ、顧客は単に料金だけでなく、サービス全体を評価して判断する。企業間の競争促進と同時に、利用者がもっと自由に契約を変更できるようにしなければ、企業間の競争促進も効果がないだろう。このためにも、企業経営の透明性も問われることになる。

 料金を巡る議論で、もう一つ留意する必要がある。携帯大手3社は高収益を上げている。もし、超過利得(レント)があるのなら、当然、利用者に還元すべきである。菅官房長官も講演会で「国民の財産である電波を利用した事業で、携帯電話会社は過度な利益をあげるべきではない」と、利益還元による料金引き下げの必要性を指摘している。

 ただ、携帯電話産業は成長産業である。現在、より通信速度の速い次世代(5G)移動通信方式への対応が迫られている。巨額の設備投資も必要となってくるだろう。携帯電話会社は、そうした将来を見据えた投資が必要だ。

 料金引き下げとは別に、政府にも政策的対応が必要となる。単に料金を引き下げるべきだと主張するのは片手落ちで、政府は電気通信サービス産業の明確な将来ビジョンを示す必要がある。