片山修(経済ジャーナリスト、経営評論家)

 「今より4割程度下げる余地がある。競争が働いていないといわざるを得ない」。菅義偉(よしひで)官房長官の8月21日の携帯料金をめぐる発言が波紋を呼んでいる。

 この発言を受けて、大手通信キャリア3社のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの株価が下落した。まさに「菅ショック」である。

 発言をめぐっては、賛否両論がある。とりわけ「4割」という数字の根拠について、さまざまな指摘がなされている。結構、厄介な問題である。

 常識からいって、大手通信キャリアが稼ぎ過ぎているとしても、携帯料金を4割も削れというのは、少々無理があるとする意見が専門家の間にはある。

 菅氏は「4割」の根拠として、経済協力開発機構(OECD)の調査を挙げた。国内の携帯料金は、加盟国平均の2倍にも達し、高過ぎるというのだ。仮にそうだとしても、それぞれの国内通信事情があるので、料金の単純比較は難しいという反論には、それなりに説得力があるといえよう。

2017年12月、楽天が運営する「楽天モバイル」の銀座店。
楽天は携帯電話大手3社に次ぐ第4の携帯電話事業者を目指すことを表明した
 実際、日本の通信料金は高い分、他国に比べて、一般的に通信品質も高い。鉄道、電力、通信など公共インフラは、全国津々浦々までネットワークが張り巡らされており、その設備投資と維持費には、大きなコストがかかっている。それゆえ高い料金設定になるのもやむを得ない。

 肝心の「4割」の根拠については、次のような背景も斟酌(しんしゃく)されているようだ。2019年に携帯事業参入を計画する楽天が、既存事業者の「半額」程度の料金設定を目指している。だから、「競争をしっかり行えば下げられる余地がある」と菅氏は語るのだ。

 もっとも、一部では、仮に大手3社が通信料金を4割下げ、楽天と同程度の価格を実現した場合、楽天にとってはとんでもない参入障壁となる、格安スマートフォン事業者もまた、大打撃は免れないだろうと心配されている。