ただ、グローバル基準で見ると、決して国内大手3社が稼ぎ過ぎているわけではない。例えば、米国の通信事業最大手のベライゾン・コミュニケーションズは、営業利益率22%、2位のAT&Tも13%だ。

 国内大手3社はむしろ、今後、頭打ちの国内市場を脱し、海外市場に活路を見いださなければならない状況にある。グローバルに事業を展開するためには、足元でしっかりと稼がなければ、勝算はないといわれている。

 現に、大手通信キャリアは、いまや海外市場を本気で攻めている。ソフトバンクは、13年に総額2兆円を投じて、米通信4位のスプリントを買収した。そのスプリントは、今年、ドイツに本社を置くTモバイルの米国法人で米通信3位のTモバイルUSとの合併に合意。海外進出を積極的に進めている。

 KDDIは、モンゴルで連結子会社の通信事業モビコムが成功しているほか、ミャンマー郵電公社(MPT)と組み、現地の携帯事業を手掛けている。NTTドコモも、インド市場からは撤退したが、国内市場にとどまっていてはならないという危機感は強い。そのためにも、必要なのは潤沢な資金だ。

 さらに、20年にも商用化を目指す新たな第5世代(5G)移動通信方式の開発には巨額な投資が必要だ。自動車や家電製品など、あらゆるモノがインターネットにつながる時代を目前に控え、通信キャリアとしては、国際競争力を維持するためには、いくら金があっても足りないということかもしれない。

 菅氏の発言を受けて、大手3社はこのほど、料金の見直しに踏み切った。ソフトバンクは、毎月の端末の割引はしないかわりに、通信料金を2割程度安くする方針で、毎月通信料金に加算されていた端末料金を切り離し、料金を透明化する「分離プラン」を採用するとしている。

 しかし、毎月の端末の割引がなくなるため、実質的には2割どころか、数%しか安くならないといわれている。これでは菅発言に応えたことにならないし、消費者のニーズに応えたことにもならない。
2018年8月、記者会見で決算について説明するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
2018年8月、記者会見で決算について説明するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
 いくら値下げるかは別として、まずは、料金の透明化に格段の努力が求められる。さすれば、大手通信キャリアに対する消費者からの風当たりは、少しは和らぐに違いない。

 携帯電話は、今や国民生活に欠かすことのできない重要なライフインフラだ。3社が利益を上げながら成長しなければ、日本は次世代サービスで他国に後れを取りかねない。値下げの議論だけでなく、収益を含めたバランスの取れた議論が必要なのである。