2018年09月09日 12:03 公開

ジョナサン・ユレイコ記者

テニスの全米オープン女子シングル決勝が8日、ニューヨーク・フラッシングメドウズで行われ、日本の大坂なおみが 6-2、6-4のストレート勝ちで初優勝した。日本人がテニスの四大大会で優勝するのは、これが初めて。試合は、元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)が審判を「泥棒」と呼ぶなどして、荒れた展開になった。

ウィリアムズ(36)はラケットを叩きつけて壊したり、主審と言い争うなどして、たびたび警告を受けた。この決勝についてはウィリアムズの行動が注目を集めるだろうが、集中を崩さず落ち着いて、品格の高いプレーによって勝利を手にした大坂(20)の功績は十二分に評価されるべきだ。

ウィリアムズは試合後、カルロス・ラモス主審との握手を拒んだが、第20シードの大坂をネット越しに称えた。

表彰式で大坂は涙ながらに、「こんな終わり方になってしまって残念です」と言い、それをウィリアムズが肩を抱いて慰める場面もあった。

何があったのか

第2セットの第2試合中に、ウィリアムズのパトリック・ムラトグルー・コーチの客席での動きがコーチング(指導)と判定され、ウィリアムズは警告を受けた。女子テニス協会(WTA)ツアーの試合ではコーチングは認められているが、四大大会では違反行為に当たる。

これに対してウィリアムズは、戦術について指示は受けていないと主審に反論。「勝つためにずるなどしたことがないし、そんなことをするくらいなら負けたほうがいい」と主張した。

しかし、ムラトグルー・コーチは後に米スポーツチャンネルESPNに、客席から「指導していたが、(ウィリアムズは)見ていないと思う」と認め、「(大坂のコーチ、サーシャ・バイン)もやっていた。みんなやることだ」と話している。一方のウィリアムズは試合後の記者会見で、コーチから合図による指導など受けておらず、ムラトグルー氏のなぜそのようなことを言うのか分からないと話した。

ウィリアムズは続いて3-2でラケットをコートに叩きつけて壊したため、2度目の警告を受け、大坂は次のゲームを15-0から始めた。ウィリアムズは激怒し、「前も同じ目に遭ってる。フェアじゃない」と抗議。自分を支持する観客のブーイングを受けながら、主審に怒鳴ったり指差してなじったりした。

ウィリアムズは2009年、キム・クライシュテルス相手の全米女子シングルス準決勝のマッチポイントで、線審に対し暴言を吐いたとして1ポイントのペナルティーを科せられ敗退している。

場内の雰囲気がますます悪化する中、4-3で大坂がリードした状態でのチェンジオーバーでは、ウィリアムズはさらにラモス主審を「あなたはうそつきだ。私が生きている限り、私のコートには二度と立たせない。いつ謝るのか。申し訳ないと言いなさい」などと激しく罵倒した。

これを受けてラモス主審が次のゲームを大坂に与えたため、大坂は5-3とリードを広げ、優勝まで1 ゲームに迫った。

ウィリアムズを支持する激しいブーイングが続く中、ウィリアムズはプレー再開を拒否し、大会主審の判断を要求した。

やがてベースラインに戻ったウィリアムズは、サービスゲームを抑えて5-4にしたが、続くゲームで大坂は見事な集中力を示し、初のグランドスラム・タイトルを手にした。

全米オープン6回を含め、四大大会で23回優勝しているウィリアムズは、国際的なスターであると共に、米国では国民的な存在だ。アーサー・アッシュ・スタジアムを満員にした観客2万4000人の声援を受けていた。しかし、試合立ち上がりから猛攻に出る大坂の姿に、観客は次第に息を呑むようになった。

憧れの大先輩を相手に初のグランドスラム決勝に挑んだ大坂は、積極的な攻めでウィリアムズのミスを次々と誘った。

ウィリアムズの第1サーブ確率は38%に下がり、第1セットで大坂がタイブレークを重ねて2-1、4ー1と勝ち進む一方、ウィリアムズは13回のアンフォーストエラーを重ねた。

しかし場内の観客は大坂のファインプレーに敬意を払いつつも、第1セットですでにウィリアムズへのラモス主審の対応に不服を抱いていたため、第2セットになると不満が怒りとなって爆発した。

ポルトガル出身のラモス主審が試合終了後にコートを離れると、警備員が急ぎコートサイドの警備に走った。主審は、本来なら出席するはずの表彰式に参加しなかった。

表彰式の冒頭でさらに観客のブーイングが続いたため、大坂はかぶっていたバイザーを下ろして涙に濡れる顔を隠した。

準優勝選手としてスピーチをしたウィリアムズは、観客に落ち着くよう呼びかけ、「良いプレーをしてグランドスラムで初優勝した」大坂を認めるようファンに求めた。

観客はブーイングをやめて拍手するようになり、次第に落ち着きを取り戻した大坂は、「全米オープン決勝でセリーナと戦うのがずっと夢だったので、それができて本当に嬉しい」と挨拶した。それでもステージから離れる際には、優勝トロフィーを落としそうになった。

(英語記事  US Open 2018: Serena Williams accuses umpire of sexism after meltdown in final