しかし、原発は今やほとんど全ての自然災害への頑健な対策を取り、震度2程度ではびくともしない。外部電源が喪失したのは、火力発電所のせいであって、泊原発のせいではない。非常用ディーゼル発電機が2台とも起動停止する確率は1/1000以下である。そして、原発は、外部電源喪失や負荷遮断といった外乱は織り込み済みで、設計と実際のハードウエアで対処可能となっている。

 少々、専門的になるが、外部電源が喪失し送電もできない負荷遮断状態になると、まず自動的に制御棒が挿入されていき、出力を5%ぐらいまで絞る。蒸気タービンは、余剰な蒸気は、タービンバイパスと言われ、タービンを回さずに直接復水器に放出される。蒸気タービンは回転が続いているから発電が続き、所内動力といって、原発が必要とする電気は自前で供給し、所内単独運転という状態で待機する。

 水力発電所などが運転を再開すれば、その給電で、運転を再開できる。非常用ディーゼルが起動するのは、所内単独運転に失敗したときのみだ。このときは、タービン動補助給水ポンプにより蒸気発生器に給水され、主蒸気逃がし安全弁から蒸気が放出されて、蒸気発生器を介して原子炉が冷却される。

 タービン動補助給水ポンプが起動に失敗しても、電動給水ポンプが代わりに給水する。さらにこれらに失敗しても、たくさんのモバイル電源、非常電源、給水車などが所用台数の2倍以上も準備されており、炉心損傷確率は隕石の落下確率以下となっている。さらにフィルタベントが設置されるので、万が一の炉心損傷が発生しても、放射性物質は濾(こ)し取られ、地元の汚染は防止される。今や原発の安全性は、3・11前の原発とは比較にならないほど頑健になっているのである。

 ここまで書くと、もはや原発を動かすリスクよりも、止めているリスクの方が高いことが分かる。原発を止めることにより、大停電のリスクは上がり、二酸化炭素の排出は増える。太陽光や風力では火力によるバックアップがないと運転できないので原発を止めると二酸化炭素の排出が増え、地球温暖化のリスクが上がる。
札幌市の地下歩道に立ち、節電を呼び掛ける北海道電力の社員ら=2018年9月9日
札幌市の地下歩道に立ち、節電を呼び掛ける北海道電力の社員ら=2018年9月9日
 ゆえに、太陽光や風力が原発の設備容量を上回るほど普及したドイツや日本で二酸化炭素は減っていない。1キロワット時の電気を得るのに、排出する二酸化炭素の質量で比較すると、ドイツも日本も先進国の中で最悪の二酸化炭素排出国なのだ。

 ドイツと我が国の再エネ政策は失敗しており、経済産業省と政府は第5次エネルギー基本計画を見直す必要がある。世界一になった太陽光に見切りを付けて原子力に大きく舵を切った中国の選択は正しいと言える。ちょっとデータをみれば、そうすべきことはだれでも分かる。このような重要なデータを報じないマスコミの責任も重いと言えるだろう。