小笠原誠治(経済コラムニスト)

 私は自民党の党員ではない。また、自民党も支持していない。いわば自民党の部外者である。従って、部外者の私が自民党の総裁選にあれこれ注文を付けるのは筋違いに思えるが、自民党の総裁に選ばれるということは、現状では総理に選ばれることに等しいので無関心ではいられない。

 それに、いくら私が自民党を支持していないといっても、自民党と公明党の考えが政府の方針に色濃く反映するため、その意味でも一言、言いたくなるのだ。

 つまり、自民党支持者でなくても与党である限り、真っ当な政党になってほしいという願いがなきにしもあらずなのである。そのような視点で今回の総裁選を眺めるとき、私は大きな失望を禁じ得ない。

 私は長年、財務省(旧大蔵省)で働いていたが、そもそもアベノミクスの核とも言えるリフレ政策に反対である。そしてまた、森友・加計疑惑に関する安倍晋三首相や政府の弁明に全く納得しておらず、その意味でも安倍首相が総裁選に出馬していること自体、反対である。

 その一方で、安倍首相の下で自民党が国政選挙で勝利し続けているのは事実だ。政権奪回を実現した総裁でもある。だから、自民党の議員の多くが安倍首相を支持するのも分からなくはない。

 しかし、本当にアベノミクスは成功しているのか、あるいは外交面での成果はどうなのか。そしてまた、森友・加計疑惑で特に露呈したとも言える安倍首相の人間性はどうなのか。そのような問題を考えるとき、安倍首相を心底支持する自民党議員がどれほどいるのかと思ってしまう。

 現在、安倍首相に票を投じるとされている議員のうち、その大半は信念というより打算に基づいて行動しているだけなのではないだろうか。確かに今、安倍首相に反旗を振りかざせばつぶされてしまうリスクが大きい。心底支持するわけではないが、安倍首相に楯突(たてつ)いている風には見られたくないと思っているだけだろう。

 だが、もし安倍首相が党のリーダーとして必要とされる素養や資格がないと思っているにもかかわらず、そうした打算で首相を支持するというのであれば、自民党にとっても日本にとっても不幸なことになるのではないのか。
演説会に臨む安倍晋三首相=2018年9月10日、東京都千代田区・自民党本部(納冨康撮影)
演説会に臨む安倍晋三首相=2018年9月10日、東京都千代田区・自民党本部(納冨康撮影)
 とはいえ、今のところ、安倍政権の支持率には底堅いものがある。しかし、読者諸氏もお気づきの通り、国民の安倍首相に対する支持率がそれほど高いものでないことは「首相の人柄が信じられない」との回答が世論調査などで多いことからも察せられる。

 言い換えれば、現政権や自民党の支持率の高さは、単に野党支持率の低さの裏返しでしかない。であるとすれば、「人柄が信じられる」と国民が思うような議員が総裁の座に就くことが望ましい。