田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 ジャーナリストの池上彰氏が司会を務める番組について、インターネットを中心に批判が相次いでいる。きっかけは、徳島文理大教授で評論家の八幡和郎氏によるフェイスブックでの投稿だ。

 八幡氏は池上氏の番組制作スタッフから、八幡氏の意見を池上氏のものとして番組で利用したいという申し出があったことを明かした。八幡氏はその申し出を断ったという。この八幡発言をきっかけにして、ネット上で似た経験のある著名な識者たちが続出し、ユーチューバーで政治活動家のKAZUYA氏によれば「謎のMeToo(ミートゥー)運動」が発生した。

 池上氏はメディアの取材に対し、「特定の先生が言ったことを自分の意見として言うことはありえない」と全面否定したという。

 実は、筆者も2012年初頭、池上氏がメーンキャスターを務めた番組に関わったことがある。そのときの不満も、当時の筆者のツイッターに記録されている。いわば「プレ池上番組MeToo」といえる一人だ。

 ただ、八幡氏や他の識者たちの経験とはかなり異なる。そのときの経緯をざっとまとめると、次のようになる。

 番組では東日本大震災の復興需要や欧州の経済危機など、当時の経済問題が話題になった。特に復興需要関連のパートで、番組制作の助言者となった。ただし、筆者のクレジットを表記しないということは、制作スタッフから事前に告げられていた。
2015年10月、著書『池上彰のそこが知りたい!ロシア』刊行イベントを行った池上彰氏
2015年10月、著書『池上彰のそこが知りたい!ロシア』刊行イベントを行った池上彰氏
 助言者を引き受けた筆者は、台本を事前に受け取り、それをチェックしていくのだが、残念なことにスタッフの経済に関する知識にひどい偏りがあった。これが大きな摩擦となった。そこで、スタッフと話し合いの機会を設け、筆者の不満をぶつけた上で、このままでは番組の助言者を降りるということを告げた。