2018年09月27日 13:00 公開

ドナルド・トランプ米大統領に連邦最高裁判事として指名され上院の承認を待つブレット・キャバノー高裁判事に対して、これまでに3人の女性が性的暴行を受けたと名乗り出ている。最初に被害を告発した大学教授は、10代のころの暴行によって自分の人生が「劇的に一変した」と供述書に書いた。

カリフォルニア州パロアルト大学で心理学を教えるクリスティーン・ブラジー・フォード教授は、27日に上院司法委員会の公聴会で宣誓証言する予定。同じ公聴会ではキャバノー判事も証言する見通し。

公聴会に先立ち提出した供述書で、フォード教授はお互いが10代だったときにキャバノー氏に押し倒された経験は「決定的な影響」を与えたと書いた。

キャバノー判事は自分に対する暴行疑惑を一貫して否定している。

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フォード教授の主張は

「最高裁判事になる資格がキャバノー氏にあるかどうか、それを判断することは私の責任ではありません。私の責任は、真実を語ることです」と、フォード判事は司法委に提出した書面に書いた。

フォード教授によると、ワシントン郊外の住宅地で36年前、当時17歳のキャバノー氏と15歳の自分は一軒家に若者が集まるパーティーで一緒になった。キャバノー氏は友人マーク・ジャッジ氏と共に自分を寝室に連れ込み、ベッドに押し倒して服を脱がそうとした上、大音量で音楽を鳴らし、悲鳴を上げないよう手で口を押さえたとフォード教授は主張している。

供述書で教授は、「ブレットに襲われたことで、私の人生は劇的に一変しました。とても長い間、私はあまりに怖くて恥ずかしくて、誰にも詳細を話せなかった」と書いた。

「ブレットに強姦されたわけではないので、何もなかったふりをして、先に進むべきだと自分を説得しようとした」と教授は説明している。

「ブレットとマークは2人とも、私を襲う間ずっと、酔って笑っていた」とフォード教授は書いている。ジャッジ氏はこれまで告発内容を否定し、そのような出来事は記憶にないと話している。

「息が苦しくて、ブレットはうっかり私を殺してしまうのではないかと思った」

ジャッジ氏がベッドに飛び乗ったため「みんなで転げ落ちて、ブレットはもう私に乗っかっていなかった」ため、部屋から走って逃げることができたのだという。

他に2人の女性が告発

イェール大学でキャバノー判事の同級生だったデボラ・ラミレス氏は、1980年代に大学寮のパーティーで、キャバノー氏が性器を露出して自分の目の前につきつけたと表明した。

さらに3人目の女性が26日、1982年にキャバノー氏も参加していたパーティーで複数の男子学生に強姦されたと名乗り出た。

マイケル・アベナッティ弁護士が司法委の承認担当法務顧問に提出した宣誓供述書で、ジュリー・スウェトニク氏は、1980年代初めにワシントン郊外のハウスパーティーで知り合ったキャバノー氏とジャッジ氏は、酔って女性をなじったり、体を押し付けたり、服を脱がせたりしていたと述べた。さらにそうしたハウスパーティーでは、キャバノー氏らが若い女性の飲みものに薬を入れて意識不明にさせた上で複数の男子学生が強姦することが横行しており、自分も1982年にその被害に遭ったと供述。その場にはキャバノー氏もいたと主張している。

キャバノー判事は、スウェトニク氏を自分は知らないし、その「馬鹿げた」供述内容は事実ではないと反論している。

承認手続きへの影響は

民主党はキャバノー判事に対する複数の告発内容を十分に調べるまで、承認手続きを延期するよう呼びかけている。

上院司法委の民主党委員10人は全員、キャバノー判事の指名を「ただちに撤回」するようトランプ大統領に求めた。

本会議に承認採決を勧告するための司法委採決は28日に予定されているが、チャック・グラスリー委員長(共和党)は委員会採決を延期する可能性を否定していない。

キャバノー判事を擁護し続けているトランプ大統領は26日、フォード教授の証言次第では考えを改める可能性もあると述べた。

ただし、判事については「これほど一流の人物」はあまり会ったことがないと称えた。自分も「たくさんの金を受け取って僕についてでまかせを言った」複数の女性から性的暴行被害を訴えられた経験があり、今回のキャバノー判事への複数の告発も民主党による「詐欺だ」と非難した。

トランプ氏は24日には、キャバノー氏を告発する女性たちは「あちこちからうようよ出てきて」、「まったく裏づけのない」、「完全に政治的な」主張をしていると批判した。また、20日には、「もしフォード博士への攻撃が本人が言うほどひどいものだったら、本人か愛する両親がただちに地元の捜査当局に被害届を出していたはずだと、確信している。日付と時間と場所が我々にも分かるよう、当時の被害届の内容を明かしてもらいたい!」とツイートしていた。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1043126336473055235

新しい最高裁判事を決める際には、大統領が指名し、上院(定数100)が承認する。現在の上院は51対49で共和党が多数を占めるが、僅差なだけに共和党議員が数人でも反対すればキャバノー判事の承認は否決される。

その場合は最高裁をはじめ米各地の裁判所に保守派判事を送り込もうというトランプ政権の取り組みが、妨げられることになる。

一方で、キャバノー判事が承認されれば、最高裁は大きく保守傾向に傾く可能性がある。現在の最高裁判事はすでに保守派5人、リベラル4人で、保守派が優勢な構成になっている。最高裁判事の任期は終身なだけに、最高裁判事たちの政治的傾向が圧倒的に保守寄りになった場合、その判決はトランプ氏の任期満了後も長く米社会に影響を及ぼすことになる。

米国では11月6日の中間選挙で、民主党が上下両院の多数党に返り咲くのか注目されているだけに、このタイミングでトランプ氏が押す最高裁判事を承認するのかどうかは、大きな争点となっている。

連邦最高裁は米国の市民生活に重要な影響力を持つ。人工中絶、死刑制度、投票権、移民政策、政治資金、人種偏向のある警察の行動など、激しい賛否両論のある法律について最終判断を示すほか、連邦政府と州政府の争いごとや、死刑執行停止の請求などについても最終判断を示す。最高裁判事は終身制で、死去もしくは引退するまで地位が保障される。

(英語記事 Kavanaugh accuser says alleged assault 'altered my life'