潮匡人(評論家)

 「100-5=95」。これなら小学生にも解ける数式であろう。ならば以下はどうか。

 「オール沖縄」-「おきなわ」=?

 「オール沖縄」は辺野古移設反対派による統一戦線(選挙運動)組織として2015年12月に結成された「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の略称だ。社会民主党、日本共産党、自由党、沖縄社会大衆党、那覇市議会「新風会」、沖縄県議会「おきなわ」、などの政党や会派に加え、知事、那覇市長、名護市長らの首長も参加、県議会および那覇市議会で過半数の勢力を確保している。

 ただし、移設反対派でも、公明党沖縄県本部、おきなわ維新の会、政党「そうぞう」は参加していない。ということは、そもそも「オール沖縄」と名乗る資格を欠くのではないだろうか。

 さらに今年に入り、県内の観光大手「かりゆしグループ」が脱会を表明。新たに結成された別団体(オナガ雄志知事を支える政治経済懇和会)の総会に出席した。総会には、建設大手「金秀グループ」に加え、上記会派「おきなわ」の関係者も出席した。

 産経新聞は「オール沖縄の名前を使うのはおかしい。有権者へのごまかしだ」と憤る「おきなわ」幹部の声や、「オール沖縄ではなくパーシャル沖縄だ」と揶揄(やゆ)する自民党県連幹部の声を紹介し、「事実上の分裂」と報じた。ならば、ますます「オール沖縄」を名乗る資格は怪しい。「オール沖縄」から会派「おきなわ」が離脱すれば、残るのは「オール」? 自称「オール沖縄」を読み解く方程式は複雑怪奇極まる。彼らの公式サイトを見てみよう。トップページにこうある。

沖縄の基地問題について知ってほしい/私たちは、オール沖縄会議です/辺野古への新基地建設を止めたいー/オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖撤去、県内移設断念を求めた「建白書」の精神を実現させるため/2015年12月14日、「オール沖縄会議」は結成されました/「オール沖縄会議」は多くの市民団体や政党、労働組合や経済界、個人に支えられています/私たちは、本サイトをとおして、沖縄の基地問題について、正確な情報をわかりやすく発信していきます/2016年5月14日

 言葉尻をとらえるようで恐縮だが、彼らが認める通り「多くの」であり「すべての」(オール)ではない。「正確な情報をわかりやすく発信していきます」というが、情報量にも正確性にも乏しい。「正しい情報」として7項目(「7POINTS」)がアップされ、その最初が「日本の米軍基地の約74%が沖縄に集中しています」と、使い古された表現と数字を挙げるが、「正確」には以下の通り。
住宅地(手前)に隣接する米軍普天間飛行場=2009年、沖縄県宜野湾市
住宅地(手前)に隣接する米軍普天間飛行場=2009年、沖縄県宜野湾市

 在日米軍施設・区域(専用施設)のうち、面積にして約70%が沖縄に集中し、県面積の約8%、沖縄本島の面積の約14%を占めている(2018年版「防衛白書」)

 まず数字が違う。彼らは、ここ数年の動きを踏まえていない。たとえば2016年12月22日、北部訓練場の過半(約4000ヘクタール)の返還が実現した。県内の在日米軍施設・区域(専用施設)の約2割にあたる広大な面積である。