三浦瑠麗(国際政治学者)

 沖縄県知事選は、列島を縦断する台風が沖縄本島を過ぎ去った中で、祭りのように島を満たして終わりました。その結果、玉城デニー候補が勝利しました。

 玉城氏は、辺野古移設への反対を唱え、また翁長雄志前知事の政策を大筋で継承するとしました。20時過ぎに当確を打ったメディアがあることからも分かるように、沖縄県民の民意は明確であったと思います。

 本稿では、勝敗がもたらす影響についての分析よりも少し巨視的な目で、変わらぬ対立構図について考えてみたいと思います。今回の選挙戦が映し出したものは何だったでしょうか。

 争点は明確でした。ただ、それは従来の「基地」と中央からの「バラマキ」の不毛な対立に終始しました。それ以外の広範な有権者に訴えかけるメッセージは「暮らしを大事にする」「生活者の視点」といった、ふわっとした言葉ばかりでした。そこには大構想はなく、将来の沖縄県がどのように食べていくかを描く戦略も不足していました。

 こうした停滞は日本全体についても言えることです。日本が21世紀にどうやって食べていくかを考え、実行に移すことができる政治家はあまり見当たらないからです。ましてや、日本の地方においてはそのような自律的な政策が唱えられることはまれです。

 これまで注目されてきた地方公共団体の「改革」の多くは、小さな町で、長老と首長が重なりあっている場合に、首長が果断なリーダーシップを取った事例にとどまっています。町おこしの成功例としてよく挙げられる、隠岐諸島にある島根県海士(あま)町の事例を、全国津々浦々に適用できないのは言うまでもありません。

 地方自治体が国に先駆けて、時に歯向かいながらも何らかの変革を訴えた例といえば、石原慎太郎氏の都政改革や橋下徹氏の「大阪都構想」くらいでしょう。沖縄の政治は、日本の「田舎」性を色濃く反映しているのです。
2018年9月27日、沖縄県知事選で那覇市内の期日前投票所に並ぶ有権者ら
2018年9月27日、沖縄県知事選で那覇市内の期日前投票所に並ぶ有権者ら
 沖縄県知事選が象徴しているのは、自主性が低いからこそ政治的争点の領域が狭いという現象です。沖縄の場合、米軍基地問題や中央政府との距離感は大きな争点になりますが、他の都道府県と比べたときの沖縄の特殊性は、本土に対する感情や違和感ぐらいであって、そこまで特殊であるかのように捉えるのも当たらないと思っています。

 基地問題が常に選挙で争点化するのは、ままならぬ「お上」との接点の最大のもの、あるいは摩擦の最大のものが基地問題であるからです。原発立地自治体の場合、それは原発の再稼働をめぐる問題ということになります。規模こそ違え、何らかの招致や受け入れなどをめぐって、自治体に摩擦が生じるのは当然です。