2018年10月01日 12:37 公開

米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同社の株式非公開化についてツイートし、米証券取引委員会(SEC)から訴えを起こされていた問題で、両者は29日までに和解した。マスク氏は罰金を支払うと共に、同社の会長職から退く。CEOには留任するとみられる。

SECは27日、マスク氏を証券詐欺罪で提訴していた

和解条件では、マスク氏はCEO職には留まる一方、兼務していた会長職を退任し、今後3年間は会長職復帰の資格を失う。

また、テスラとマスク氏はそれぞれSECに2000万ドル(約22億円)の罰金も支払う。

SECのジェイ・クレイトン委員長は和解を支持すると発表。この和解が、テスラの株主を含む米市場と投資家にとって最高の利益だと思うと話した。

「情報公開を基本とするこの国の連邦証券法に含まれる重要な原則が、この問題で再確認された」とクレイトン委員長は話した。

「具体的に言うと、企業や企業内部の人間が発言する時には、その発言が虚偽だったり誤解を招いたりしないかを確かめること、合理的な投資家が投資行動を決める上で重要だと考えるだろう情報を省かないようにすることを含め、責任を持って行動しなければならない」

問題となったツイートの内容

詐欺疑惑はマスクCEOが8月に投稿したツイートに関連している。マスク氏は8月、テスラを上場廃止し、非公開企業化することを考えているとツイッターで述べた。

同氏は1株あたり420米ドル(約4万7000円)での株式を非公開化するための「資金を確保した」と書いた。マスク氏の発言後、テスラの株価は短期間上昇したが、その後は再び下落した。

SECは、このツイートが「虚偽で誤解を招く」ものだったと指摘した。

「真実そして事実としては、価格を含む主要な契約条件について、マスク氏は出資者候補と議論もしていなければ、確定もしていなかった」とSECは述べた。

マスク氏は当初、SECの提訴を「不当だ」で、自分は「真実と透明性、投資家の利益を最優先」してきたと反論していた。

和解条件

罰金に加え、マスク氏はテスラについてツイートする際には、同社の情報公開手続きに従わなければならなくなる。

会長職退任への猶予期間は45日。

SECは当初、あらゆる公開企業でマスク氏の取締役としての活動を禁じるとしていた。しかし今回の和解条件では、同氏はテスラのCEO職に留まれることとなった。

テスラには取締役会を取り仕切る、新たな「独立した会長」が迎えられる。

テスラがCEOと会長の権限を分離するよう求められたことで、同社でのマスク氏の影響力は限定される見込みだ。しかし、同氏がCEOとしての日常業務には留まることから、多くの専門家はこの和解がマスク氏にとってよい結果だったと指摘している。

イーロン・マスク氏とは

南アフリカ生まれのマスク氏は、オンライン決済事業のペイパルで億万長者となった後、テスラと宇宙ロケット開発を手がけるスペースXに参画した。

米経済誌フォーブスによるとマスク氏は世界で25番目の大富豪で、資産総額は197億ドル(約2兆2440億円)と推計されている。

しかしマスク氏はこの夏、何かと落ち着かない日々を過ごした。

同氏は17日、タイ北部の洞窟で少年らの救護活動にあたった英国人ダイバーの名誉を毀損したとして提訴された

また今月初めには、インターネット番組への出演中に大麻を吸引したことでも議論を呼んだ。番組が収録された米カリフォルニア州では大麻は合法だが、マスク氏の番組出演後、テスラの株価は9%超下落した。

(英語記事 Elon Musk reaches deal over tweets about taking Tesla private