2018年10月01日 16:39 公開

米国とカナダは9月30日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に合意した。

USMCAによって、米国のカナダ乳業市場へのアクセスが拡大するほか、カナダの対米自動車輸出に上限が設けられる。

ドナルド・トランプ米大統領は長く、1兆ドル(約113兆円)超規模のNAFTAの再交渉を求めてきた。

8月にはメキシコと大筋合意に至ったものの、カナダ抜きでの締結になる見通しとされていた。

ロバート・ライトハイザー米通商代表とカナダのクリスティア・フリーランド外相は共同声明で、「今日、カナダと米国はメキシコと共に、新しく刷新された21世紀の貿易協定、USMCAに合意した」と表明した。

「労働者や農業従事者、酪農家、そして企業に今までより自由な市場、より公平な貿易、そして我々の地域に力強い経済成長をもたらす高水準の貿易協定」が実現したと、両国の代表は宣言した。

米国は今年に入り、中国やメキシコなど複数の国と貿易戦争を繰り広げてきた。

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新協定の内容は?

米・カナダの共同声明では、合意の詳細は明らかにされなかった。しかし、カナダの乳業や対米自動車輸出に関して鍵となる条項が含まれているとみられている。

ロイター通信は情報筋の話として、米農家は今後、カナダの乳製品市場の3.5%に進出できるようになると報じた。

また、カナダは米国が検討している自動車関税をめぐり、いくつかの保護措置を獲得したという。

一方、米国の鉄鋼・アルミ関税は当分、継続する見通した。

合意までの流れ

米国は8月にメキシコと合意に至ったが、貿易協定をめぐるカナダとの関係はここ数週間で緊張が高まっていた。

トランプ政権はカナダに対し、30日が合意の期限だと伝えていた。

トランプ氏による保護主義政策の下、米国は個別の貿易協定を推進する一方、より広範囲な多国間貿易協定を拒否し、数十年続いていたグローバル自由貿易の波に対抗している。

同大統領は中国にも貿易戦争を仕掛けており、すでに企業活動に影響が出ているほか、世界経済の成長を妨げる可能性がある。


<解説>合意で安心――ジェシカ・マーフィー、BBCニュース(トロント)

この合意成立には13カ月の月日を要した。その間、ゴールにたどり着くのは無理だろうと思う瞬間が何度かあった。

ドナルド・トランプ米大統領は8月にメキシコとの二国間合意に至って以降、NAFTAを崩壊させる、あるいはカナダ抜きで締結するという脅しを一度ならず重ねてきた。

米国とカナダの首相の関係は、交渉が長引くにつれますます不安定になっていくようだった。

だからこそ今回の合意は、両国の多くの産業に安心をもたらした。NAFTAに依存する両国の産業は、交渉開始からというもの、不透明な状況に置かれていたからだ。

カナダのトルドー首相はかねてから、自国のためになる協定でない限り締結しないと、力説していた。それだけに両国の産業界は、交渉の最終局面でどのような譲歩がなされたのかはっきり知るため、情報を待つことになる。


(英語記事 US and Canada agree new trade deal