また、衆参両院での発議が来年夏の参院選以降に持ち越される場合には、参院選で議席を増やすことができるかが鍵になる。今回改選となる2013年参院選では自民党が大勝しただけに、一層の議席増のためには、状況次第で衆院選との同日選挙の可能性もゼロではない。

 ただ、公明党が同日選挙に同意しなければ、自民党単独で参議院の3分の2を確保できない以上、参院選を単独で戦わざるを得ず、来年夏の景気をどのように良好な状態に持っていくのかが安倍氏の腕の見せ所になる。消費税率引き上げを決定すれば、来春から来夏にかけての駆け込み需要を期待できる一方、トランプ大統領との日米首脳会談の結果如何(いかん)やイランからの原油輸入ができなくなれば、来夏の景気にとって大きなマイナス要素になる。

 安倍政権の課題は、先月の総裁選の党員票にみられたように、自民党支持者の中には安倍氏の党運営に批判的な者もいることだ。今回の内閣改造・党役員人事で石破派の当選回数が多い議員や参議院竹下派からの大臣や党の主要役職就任が見送られたことが、憲法改正の国民投票にどのような影響をもたらすのかが注目される。

 この点、長期政権を継続した佐藤氏は、どんなに総裁選で厳しく争っても総裁選が終わればノーサイドとして、自分の方針に従う限り当選回数主義(衆院議員当選3回で政務次官、当選5~6回で大臣など)で挙党一致態勢を作り上げた。

 今回の内閣改造が吉と出るか凶と出るかは、今後、安倍氏が懐深く党内をまとめていけるかどうかにかかっている。特に沖縄県知事選で、安倍氏についていけば選挙に勝てるという「不敗神話」が崩れただけに、来年の参院選が党内の求心力の行方を占う試金石となる。
皇居に向かうため官邸を出る安倍晋三首相=2018年10月2日、東京都千代田区(飯田英男撮影)
皇居に向かうため官邸を出る安倍晋三首相=2018年10月2日、東京都千代田区(飯田英男撮影)
 ただ、安倍氏にとって救いなのは、野党の足並みが乱れていることだ。立憲民主党も結党時より支持率を下げており、国民民主党に至っては1%前後の支持率である。

 さらに、参院選での野党共闘については、共産党と組むことへの批判を避けるために市民連合を核にした共闘協議をしたい立憲民主党や国民民主党と、「選挙協力は政党と政党で協議するのが筋」とする共産党の間の溝が現時点で埋まっていない。今後、野党がどのように一つにまとまって参院選を戦うかどうかも、安倍政権の行方に大きな影響をもたらすことになる。