田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 米軍普天間飛行場から名護市辺野古への移設問題を主要な争点とした沖縄県知事選は、翁長雄志前知事の「遺志」を継ぐとした前衆議院議員の玉城デニー氏が、安倍政権の支援を強く受けた前宜野湾市長の佐喜真淳氏を打ち破った。知事選とはいえ、日本の安全保障政策を巡る問題が争点だけに、この玉城氏の勝利は、さまざまな形で国政に影響するというのが大方の見方のようである。

 例えば、筆者のリベラル寄りの、何人かの知人は、これが安倍政権の「終わりの始まり」であるとして、今回の沖縄知事選における野党共闘の在り方が、来年の参院選においても安倍退陣の有効打になると考えている。もちろん、選挙は組織戦の側面も強いので、野党共闘が実現すれば、参院選でもかなり有効な戦略となるだろう。

 だが、沖縄知事選では県民の意見を二分する形で、移設問題が主要論点となっていた。今の野党陣営に果たして、参院選において国論を二分する論点を提起する力はあるのだろうか。

 野党第1党の立憲民主党の凋落(ちょうらく)ぶりはすさまじいものがある。各種世論調査でも、党の支持率低下に歯止めがかかっていない。この理由には、森友・加計学園問題などで「疑惑」だけあおり、まともな政策提起をしていないと多くの国民にみなされていることが主因としてあるのではないか。

 立憲民主党の経済政策は、景気浮揚政策に消極的な一方、再分配政策に重点を置いたものである。再分配政策、つまり社会保障や教育、医療などの政策が重要なのは言うまでもない。

 だが、過去の民主党政権の悲惨な実績をみればわかるように、景気浮揚を二の次にした再分配政策は、「コンクリートから人へ」どころか、人の価値を度外視した経済を低迷させ、雇用や生活を持続的に悪化させるだけの結果に終わった。

 それでも、「旧民主党なるもの」には反省はない。最近でもこの旧民主党の一部であり、現在の野党第2党である国民民主党が、反金融緩和と財政緊縮という経済を低迷させる政策を打ち出していた。要するに、経済政策について、旧民主党なるものに反省が一切ないのである。

来夏の参院選比例代表で
立憲民主党が擁立を決めた漫才師のおしどりマコ氏=2018年9月
 また原発問題、正確には「放射能デマ」の対処についても、特に立憲民主党はその潜在的な支持者を落胆させている。来年の参院選比例代表で、漫才師のおしどりマコ氏を擁立することを党の常任幹事会が決めたからだ。

 このおしどりマコ氏の擁立は、少なくとも筆者はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やインターネット上の論説で、安倍政権の支持・不支持を超え、理性的な反対の声を多く見聞している。おしどりマコ氏は、東日本大震災以降、放射能の過剰な「被ばくデマ」とでもいうべきものに関与したと批判を受けている。