トランプ大統領は6月18日の国家宇宙会議の冒頭で、「わが国は空軍を保有し続けるし、宇宙軍も保有する。分離されても平等に」と発言、「国防総省に対し、第6の軍種として宇宙軍を創設するため必要なプロセスを直ちに始めるよう」指示した。

 ちなみに、「分離されても平等」という表現は、思い浮かんだ表現を深く考えずに言ったものかもしれないが、米国民にとっては、公立学校における人種隔離を認めた1896年の米最高裁判決を表す表現であり、トランプ大統領の発言は、その点でも注目された。

 それから2カ月足らずの8月9日、ペンス副大統領は、マティス国防長官を伴って記者会見し、ロシアと中国の対衛星兵器の脅威を訴え、宇宙軍創設に向けて国防総省が直ちにとる措置を指示した。

 ペンス副大統領はここで、宇宙軍を管理する宇宙軍省も新設する方針を示した。国防長官の下で兵力・機能の増強を監督する文官として、まず宇宙担当国防次官補を新設するが、このポストが「将来、完全に独立した宇宙軍長官に移行するため重要」だと発言した。

 そのほか、統合軍レベルの米宇宙軍、宇宙関連の調達を加速するための「宇宙開発局」、宇宙担当軍人の質と量を増強するための「宇宙作戦部隊」の創設も指示した。
宇宙軍創設のイベントに参加した米国のペンス副大統領(左)とマティス国防長官=2018年8月、ワシントン近郊の国防総省(AP=共同)
宇宙軍創設のイベントに参加した米国のペンス副大統領(左)とマティス国防長官=2018年8月、ワシントン近郊の国防総省(AP=共同)
 しかし、このままペンス副大統領が指示した通りに事が進むわけではない。8月13日にトランプ大統領が署名した2019年度国防権限法は、宇宙開発局や宇宙作戦部隊に似た内容を含むものの、米戦略軍の下にサブ統合軍として米宇宙軍を創設すると定めており、トランプ政権の計画ほど急進的ではないのだ。宇宙軍省の新設はむろん、空軍省の下で宇宙軍を新設するにも、立法が必要である。

 マティス国防長官とダンフォード統合参謀本部議長は、8月28日の記者会見で、ペンス副大統領ほど宇宙軍省・宇宙軍種の新設を急がない姿勢をのぞかせた。マティス長官は、国防総省が宇宙軍省を設置する法案について議会と協議していると述べる一方、「わが国が直面している宇宙問題を定義するため、議会およびホワイトハウスと作業してきた」として、ホワイトハウスから独立した専門家集団としての立場を示した。